この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第1章 夏の華
北白川伯爵の帰国記念の夜会は華やかに開催された。
広い庭園にはランタンが点灯され、庭師が大切に飼育した蛍も放たれ、幻想的な真夏の夜の夢のような風景に、演出された。

…招待客の車が続々と玄関の車寄せに到着する。
北白川伯爵は二人の美しき令嬢、綾香と梨央と共に招待客を歓迎する為に広い玄関前に並ぶ。
従者 狭霧は伯爵の後ろに控え、執事の月城はその隣に並んだ。

縣家の最新型のメルセデスが滑り込むように車寄せに到着した。
下僕が車のドアを開ける。
背の高いあたりを払うような威厳と凛々しさを備えた黒い燕尾服姿の礼也が降り立ち、恭しく身重の妻、光をエスコートする。

光は来月には臨月の身体だが、黒いベルベットシフォンのドレスを優雅に着こなし、その美しい貌はこれから母になる喜びと誇りに満ち溢れていた。

…少し遅れて暁が車から降り立った。
暁は黒いテイルコートにブラックタイという正装を優美に着こなしている。
さらさらとした美しい黒髪は綺麗に撫でつけられ、一筋だけ綺麗な白皙の額にかかっているのも古典絵画の美青年のような美しさだった。

月城は職務を忘れ、暫し見惚れる。
月城の姿に気づいた暁が、控えめだが嬉しそうに微笑った。
暁は普段、どことなく寂しげな美貌なのだが笑うと白い花が一斉に咲いたように華やかになるのだ。
月城は、高鳴る胸の鼓動を抑えながら口元だけで微笑み返した。

光が闊達に北白川伯爵に抱きつき、頬にキスをする。
「叔父様、お帰りなさい!今日はお招きくださり、ありがとうございます」
伯爵はこの美しく華やかで進歩的な姪がお気に入りだ。
眼を細めながらその身重の身体を大事そうに抱きしめる。
「光さん、来月はもうご出産だというのに、貴女は今夜、この夜会の一番の美女ぶりだ。素晴らしい!お身体も健やかそうでなによりだ」
「元気すぎて、退屈なくらいですわ。早く出産を終えて、舞踏会で踊ったり、馬に乗ったりしたいわ」
隣の礼也が苦笑混じりで肩をすくめる。
「伯爵、伯爵からもご注進下さい。光さんは少しでも眼を離すと、無茶をなさろうとするのですよ。来月まで気が気ではありません」

伯爵は愉快そうに笑う。
「幸せそうで何よりだ。…礼也君には色々と梨央のことで迷惑を掛けたが…運命の人と巡り会え、結ばれ、本当に良かった」
伯爵のしみじみとした言葉を受け、礼也と光は嬉しそうに見つめあった。

/954ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ