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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第12章 その愛の淵までも…
この家の美貌の執事と眼が覚めるような美しい客人が温室を去ると、藍染は深く息を吐いた。
深津はさもありなんといった風に藍染に頷いてみせた。
「お綺麗な方だろう?縣様…暁様は…」
「…暁様…と仰るのですか…」
…あきら…お貌にお似合いの綺麗なお名前だ。
「ああ。今見えた縣男爵様の弟君だ。
…それから…」
深津は少し声を潜める。
「…執事の月城さんの特別なひとだよ」
…あまり大っぴらには言うなよ…と、釘を刺しながら告げる。
「特別なひと?…つまり…」
「お二人は事実上、ご結婚されているのさ」
藍染は眼を見張った。
「結婚?…男性同士でですか?」
「まあ、驚くよな。…欧州なんかではあるらしいが…。俺も最初は驚いたが…なにしろ…」
少し憧憬めいたため息を吐く。
「…あんなに美しいお二人だから、あんまり違和感はなくてね。…梨央様や綾香様もお二人を応援しておられるし…。
ただ、月城さんはこのことがあまり公に広まって梨央様たちにご迷惑をお掛けするのは忍びないと、公表はこの屋敷に留めていらっしゃるけれどね」

深津はやや気取って目配せをした。
「つまり、月城さんと暁様の関係は、北白川伯爵家のもうひとつの美しき秘密…という訳さ。
…さあ、客間に戻るぞ。…今日はお茶会のあとは綾香様の音楽サロンが催されるから忙しいぞ」
慌ただしげに温室を出る深津を他所に、藍染は先ほど暁がいた辺り…白いイングリッシュローズを振り返る。
暁とすれ違った際に感じた、薔薇とは異なる異国の白い花めいた薫りが仄かに残っていた。


…こんなところにいたなんて…。
神様…
感謝します…。

藍染はそのやや神経質的な美貌ではあるが、見事に整った貌に謎めいた微笑みを浮かべ、ゆっくりと踵を返して行った。

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