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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第12章 その愛の淵までも…
その夜、遅くに月城は帰宅した。
暁を起こさぬように静かに寝室に入って来た月城を、暁は寝台の中で息を潜めて待つ。

月城は静かに寝台に近づき、暁の貌を覗き込む。
「…暁…ただいま…」
呼び捨てされたのが、身体が熱くなるほどに嬉しい。
暁は我慢できずにブランケットを跳ね除け、月城に抱きつき、男を寝台へと引き込む。

「暁様…?起きていらしたのですか?」
驚く月城の唇を細い指でなぞる。
「暁だ…森…。お帰り…」
月城はその怜悧な瞳を細めて微笑んだ。
「ただいま。暁…」
「森…愛してる…!」
寝台に膝立ちになり、男の貌を引き寄せ、唇を狂おしく重ねる。
「…んんっ…はあ…あ…ああ…ん」
自らその薄い舌を懸命に男の肉厚な舌に絡め、千切れるほどに吸う。
珍しい暁の積極的な口づけに月城は眼を見張る。
「…どうしたの…?暁…」
濃密な口づけの合間に尋ねる。
「…ん…っ…しん…すき…す…き…」
男のさらりとした黒髪を掻き乱すようにしながら、愛の言葉を伝える。

二人の温かな吐息はやがて熱く甘く熟れたような吐息に変わる。
いつもと様子の違う奔放な振る舞いの暁に、月城は次第に欲情の色を濃くする。
暁の白い夜着の釦をしなやかな仕草で外しながら、そのほっそりとした首筋に唇を這わせる。
「暁…こんなに身体を熱くして…いやらしい子だ…」
艶めいた低い美声に背筋が甘く震える。

「…月城…」
…本当は、尋ねたい…。
…君は僕たちの関係を秘密にしたいの…?
…この関係を、心のどこかで恥べきことだと思っているの…?

…そんなこと…怖くて到底聞けないから、暁は男の身体を欲しがる。
身体は正直だ。
嘘をつかない。
…この身体に彼が執着してくれている内は、二人が離れることはないのだから…。

…だから月城がもっともっと自分の身体に執着してくれたらいい…。
そうしたら、こんな余計なことを考えないで済む…。
自分もまた、月城の身体だけに溺れていたい…。

そう思いながら、暁は男のスラックスのベルトの金具を外し、着衣を乱す。
…雄々しく兆した男の牡が現れる。
高価な名刀の如く聳え勃つ牡に目を潤ませ、愛おしげに唇をつける。
…滑らかな天鵞絨のような肌…熱い脈拍…
「…すごい…おおき…い…あつ…い…んん…っ…」
暁の柔らかな可憐な花のような唇が淫らに開かれ、男の凶器のような牡を艶めかしく飲み込んでいく。



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