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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第12章 その愛の淵までも…
「…暁…!…」
ぬめぬめとした異国の花弁のような唇と舌の感触に、月城は低く呻く。

暁は口淫がとても巧みになった。
稚拙でぎこちない性技しかできなかったのを月城が辛抱強く優しく教え込んだのだ。
かつての暁の恋人、大紋は暁を甘い砂糖菓子のように甘やかし大切に抱くだけで、口淫はさせてこなかったらしい。
…暁が、どのようにあの立派で品格のある美しい男に愛されていたか…考えるだけで何年経とうとも、胸が焼け付くような妬心に襲われる。
…年甲斐もなく…と、月城は苦笑いする。
暁のことになると未だに冷静になれない自分がいる。

薄暗がりの中、白い夜着をしどけなくはだけさせながら跪いて男に口淫する暁を見下ろす。
…白い陶器のような肌が薄紅に染まり、男の長大な牡を咥え、健気に舌を遣うその唇は淫らに濡れて光っていた。
「…きもち…いい…?」
一度男の雄蕊から口を離し、淫らさと清楚さを併せ持つ色を宿した黒い瞳が月城を見上げる。
愛おしさと湿った欲望が綯い交ぜになり、月城を狂おしく襲う。
月城はそのまま屈み込み、大切な宝物を扱うようにその小さな美しい貌を包み込んだ。
潤んだ黒い宝石のような瞳の中に自分が映るのを、恍惚と見つめる。
「…こんなこと、なさらなくても貴方を愛していますよ…言葉では尽くしきれないくらいに…」
暁の大きな瞳が見開かれ、泣き出しそうな子どものように歪められる。

「…月城…」
頬を流れ落ちる涙を優しく吸いながら、尋ねる。
「…何があったのですか…?」
暁は首を振る。
「…何もない…何も…」
「…暁様…」
それ以上もう何も尋ねさせないように、暁は月城にしがみつく。
「…何も…ないから…抱いて…強く…離さないで…」
「…暁様…」
自分から男を誘い、褥に横たわる。
狂おしくも甘い口づけをお互いに求め合いながら、暁はほっそりとした白い脚を開く。
「…はやく…抱いて…ぜんぶ…月城で一杯にして…お願い…」
甘く掠れた喘ぎ声…異国の儚い花のような切ない薫り…強く抱けば砕けてしまいそうな華奢な白い肢体に、引き摺られ…麻薬に酔わされるように、月城は我を忘れて暁にしたたかに溺れた。




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