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第13章 永遠の最果て

「…ああ…っ…ん…んんっ…く…っ…」
苦痛に満ちた暁の声を聞き月城は動きを止め、懺悔するように暁を抱きしめた。
「申し訳ありません…貴方に…苦しい思いをさせて…」
…月城の声は震えていた。
暁は苦痛に寄せる眉をやや緩め、男の貌を覗き込み、微笑った。
「…いいんだ…。僕は大丈夫だから…君が与えてくれるものは、苦痛でも嬉しい…苦しいだけじゃないから…続けて…」
「暁様…！」
蒼ざめた白い花のような暁の貌を震える指でなぞる。
「…私は…貴方を失うことが何より恐ろしいのです。
貴方を失うくらいなら…いっそ私がこの手で…」
「…月城…？」
美しく長い指が暁の白い首筋にかかる。
しかし、その指は切なげに肌を撫でるだけだった。
「…いえ…恐ろしいのは、誰かが貴方を傷つけることだ…。この美しい貌も、身体も…貴方の名声も…。
何もかも、傷つけてはならないものなのに…！」
譫言のような月城の言葉に、暁は今までにない底知れぬ苦悩を感じた。
「…君は…何を恐れているんだ？誰が僕を傷つけるというんだ？…ねえ…教えてくれ…」
月城は力なく首を振る。
その彫像のように美しい貌には初めて見るような脆い表情の色があった。

「許してください。今はまだ…」
…けれど…
月城は哀しいまでに澄み切った夜空を映したような瞳で見つめる。
「貴方を欺くことはしません。私は貴方を守ります。貴方を…この命に代えても…」
「月城…」
問いかける為に開いた暁の桜色の唇は、そのまま男に塞がれ、繋がった下肢は再び始まった力強い律動に乱される。
濃密なくちづけと連動する男の抽送は、暁の感じやすい花筒を穿つように攻める。
「…あ…ああ…んっ…はあ…っ…んん…」
…痛みだけではない声が上がる。
馴染んだ淫肉を愛おしい男に犯され、暁の下肢が甘く膿んだ快楽に溺れ始める。
「…ああ…っ…だめ…そんな…んんっ…」
「…愛している…」
激しくも濃厚な抽送を繰り返し、暁を極限まで求める。
最奥を突かれ、穿たれ、身体がどうにかなりそうなほどに貪られ、奪われる。
同時に麻薬のような痺れるほどの快楽を与えられる。
暁は行為の途中で意識を朦朧とさせる。
切なげに喘ぐ耳元に密やかな囁きが聞こえた。
「愛しています、暁様」
…私は…

しかし、その先の言葉を暁が聞くことはついぞなかった。

…月城はその夜、暁の前からふつりと姿を消した。