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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第13章 永遠の最果て
…今までの暁の様子を光から聞いた大紋は、苦しげに溜息を吐いた。
「…そうでしたか…」
光は美しい眉を顰める。
「…暁さんは、苦しんでいらっしゃるわ。
あの方は優しい方だから、ご自分のせいで礼也さんの立場を悪くしてしまうことをとても恐れていらっしゃるの。
今回、家宅捜索が北白川家やご自分のご自宅に及んだことから、この家にも憲兵隊の目が向いたらと案じていらっしゃるのよ。
その一方で月城さんのことがご心配で堪らなくて…。
二つの板挟みになっていらっしゃるわ。
側で見ていて辛くなるほどよ」
「…暁らしいな…」
遣り切れない思いで唇を噛みしめる。

想いに暮れている大紋の背後から、低い美声が響いた。
「春馬。来てくれたのか…」
礼也は黒い燕尾服にホワイトタイと惚れ惚れするような一分の隙もない正装姿であった。
戦争の足音が近づき、華美な服装を咎めるような窮屈な風潮の中、ここ縣家だけはまるで別世界のように古き良き貴族の格調高く華やかな生活を維持し続けていた。
それは礼也の矜持と禍々しい世の中に対する抵抗の証しであった。
…しかし、その雄々しい美貌には濃い翳りが見えた。

「暁に会えたら…と思ったのだが…留守のようだね」
礼也の貌が寂しげに曇る。
「…ああ。そうだ。出かけているよ…」
そして、何かを決意したかのように大紋を見つめ口を開いた。
「私の書斎に来てくれ。折り入って話がある」

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