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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第13章 永遠の最果て
その声を聞いた暁が、ゆっくりと振り向いた。
長めの前髪が白く艶やかな頬に振りかかり、ぞっとするほどに妖艶な色香を醸し出していた。
黒いシルクのシャツの胸元はしどけなくはだけられ、真珠色の肌が惜しげもなく覗く。
…それはさながら婀娜めいた高級娼婦のようであった。
…暁は驚く訳でもなく大紋を見上げると、可笑しそうに笑った。
「春馬さん。今更、趣旨変えですか?それとも両刀?
…残念。ここは女も抱ける人は出入り禁止なんですよ」
大紋は厳しい表情のまま暁の腕を取る。
その手首のか細さに、はっとする。
「暁、帰ろう」
「なぜ?僕は楽しんでいるんです。邪魔しないでください」
冷たく腕を振り払い、グラスの酒を煽る。
その美しい貌は息を呑むほどに荒んでいて、楽し気な色は全く浮かんではいなかった。
隣の若い男が、気色ばんだ様子で大紋を牽制する。
「あんた、誰?暁は俺が今口説いているんだよ。出ていけよ」
大紋はもう一度、暁の腕を取り有無を言わさずに強引に引き上げ、椅子から立ち上がらせる。
にこりと大人の笑みを浮かべると、明るく告げる。
「悪いな、坊や。暁とは君がお襁褓をしている時から、懇ろの仲なんだ。最近、またおいたをするようになって困っていたんだ。
私の顔を立てて、今晩は譲ってくれ」
呆気に取られている若い男を尻目に、暁を抱きかかえながら歩き出す。
最初は抵抗したが、大紋の力の強さに暁は諦めたように肩を竦め若い男を振り返り、蠱惑的な眼差しで目配せをした。
「ごめんね。嫉妬深い男なんだ。今夜は帰るよ。…君が半殺しの目に遭わされたら、可哀想だからね」
若い男の顔が、俄かに引き攣った。
長めの前髪が白く艶やかな頬に振りかかり、ぞっとするほどに妖艶な色香を醸し出していた。
黒いシルクのシャツの胸元はしどけなくはだけられ、真珠色の肌が惜しげもなく覗く。
…それはさながら婀娜めいた高級娼婦のようであった。
…暁は驚く訳でもなく大紋を見上げると、可笑しそうに笑った。
「春馬さん。今更、趣旨変えですか?それとも両刀?
…残念。ここは女も抱ける人は出入り禁止なんですよ」
大紋は厳しい表情のまま暁の腕を取る。
その手首のか細さに、はっとする。
「暁、帰ろう」
「なぜ?僕は楽しんでいるんです。邪魔しないでください」
冷たく腕を振り払い、グラスの酒を煽る。
その美しい貌は息を呑むほどに荒んでいて、楽し気な色は全く浮かんではいなかった。
隣の若い男が、気色ばんだ様子で大紋を牽制する。
「あんた、誰?暁は俺が今口説いているんだよ。出ていけよ」
大紋はもう一度、暁の腕を取り有無を言わさずに強引に引き上げ、椅子から立ち上がらせる。
にこりと大人の笑みを浮かべると、明るく告げる。
「悪いな、坊や。暁とは君がお襁褓をしている時から、懇ろの仲なんだ。最近、またおいたをするようになって困っていたんだ。
私の顔を立てて、今晩は譲ってくれ」
呆気に取られている若い男を尻目に、暁を抱きかかえながら歩き出す。
最初は抵抗したが、大紋の力の強さに暁は諦めたように肩を竦め若い男を振り返り、蠱惑的な眼差しで目配せをした。
「ごめんね。嫉妬深い男なんだ。今夜は帰るよ。…君が半殺しの目に遭わされたら、可哀想だからね」
若い男の顔が、俄かに引き攣った。