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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第13章 永遠の最果て
店の外に出た瞬間、暁は大紋を突き放した。
そして鋭い眼差しで、睨みつける。
「何をしに来たのですか?店で揉めたら面倒だから、ああ言いましたけれど…。
まさかお説教しに来たのですか?」
こんなにも冷たく他人を見るような目付きで見られたのは初めてだ。
大紋は少なからず衝撃を受ける。
だが気を取り直して、暁と向かい合う。
「…君が心配で来たのだ。こんなところで、あんな男と…。自棄になるのはやめてくれ」
暁の瞳にふっと遣る瀬無い色が浮かぶ。
「…ここで貴方にそんなことを言われるなんて…。
何の因果でしょうかね…」
「…どういう意味だ?」
怪訝そうな貌をする大紋に薄く微笑み、暁は店を見上げた。
…以前、ここである男に叱られたことがある。
…昔の話だ…。
「…昔の話です…貴方が絢子さんと結婚して…僕は自暴自棄になっていました。
…貴方を忘れたくて…夜毎ここに憂さを晴らしに来ていました…」
大紋がはっと息を呑む。
「…暁…」
「…ある夜、月城が店にやってきて…僕を叱りました…。
それで…憂さを晴らすなら自分で晴らしてくれと…彼は僕を抱きしめて…キスをして…」
暁の古典彫刻のように美しくも儚げな横顔が月明かりに照らされる。
それは胸を鷲掴みにされるほどに麗しく弱々しく…そして何より艶めいていて、大紋は虚をつかれた。
「…その夜、初めて僕は月城に抱かれました…」

…遠い昔のことのようだ。
その夜以来、月城は暁の全てを奪っていったのだ。
心と身体のすべてを…。
今、ここにあるものはただの抜け殻で…だからこんなにも虚しいのだ…。

「…春馬さん…」
「なんだ?なんでも言ってくれ。君のためならなんでもしよう。君が立ち直ってくれるなら、僕はこの命を捧げても惜しくはないのだ」

…ずっと愛してきた…。今も…愛している…。
誰よりも深く愛している。
長い年月を経て、穏やかな愛に変わったと思っていた。いや、思い込もうとしていた。
だが、それはまやかしだった。
自分が唯一愛しているのはやはりこの目の前の…見つめているだけで、この胸が狂おしく掻き乱されてしまうほどに恋しく愛おしいこの人だけなのだ…!

暁は大紋の心を読み取ったかのように、振り向いた。
…美しい夜の湖のように凪いだ瞳には、哀しいまでの孤独の色が映し出されていた。
その薄紅色の唇が開かれた。
「…僕を…抱いてください…」


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