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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第13章 永遠の最果て
「暁…!」
驚愕したようにその切れ長の瞳を見開く大紋に、暁はゆっくりと近づいた。
「…なんでもしてくださるのでしょう…?」
懐かしい…異国の花のような甘く妖しい薫りが漂う。
同時に、狂おしいまでに愛しあったあの切ない日々が蘇る。
大紋は痺れるような眩暈を感じた。
「…さっきの彼で憂さ晴らししようと思っていたんですが、春馬さんでいいです。
貴方は僕の身体の隅々までご存知だし…秘密は守って下さるでしょうし…。
…絢子さんには黙っていたら分かりませんよ。…だって僕は男だし…妊娠する心配もないし…貴方につきまとったりもしない。セックスだけの割り切った関係です。
…悪くはないでしょう?
…それに…久しぶりに昔の恋人の身体を味わってみたいと思いませんか?」
美しい唇を偽悪的に歪め、淫らに笑う。
暁の言葉ひとひとつに大紋は、己れの身体が酷く傷つけられたように鋭い痛みを感じた。
「…暁…!」
呻くような声を聞き、暁は大紋の首筋に両手を絡める。
美しい声は歌うように告げる。
「…そんな貌しないで…。ただ貴方は僕の憂さ晴らしに付き合ってくださったらいいんです」
暁の花のように紅く濡れた唇が近づく。
長い睫毛が触れ合いそうになった瞬間、大紋は優しく…しかし毅然と暁の腕を離した。
「…だめだ、暁。こんなことは、してはならない」
暁の優美な眉が顰められる。
「なぜですか?…こんな…淫乱な男はお好みではないと…?」
大紋はすぐ様に首を振る。
そして子どもに語りかけるように、暁の目を見つめて誠実に答えた。
「違う。…君が僕を愛していないからだ」
「…え?」
大紋の手が暁の髪を慰撫するように撫でる。
「君は僕を愛していない。もし、君が少しでも僕を愛しているならば、僕は迷うことなく君を抱くだろう。
…だが、君は僕を愛してはいない。
君が愛しているのはただ一人…月城だけだからだ」
はっとしたように暁の黒眼勝ちの瞳が見開かれ、怯えたように大紋から背を向けた。

「…もう…愛してはいません…忘れました…」
機械のように無機質な言葉が聞こえてきた。
小さく震える華奢な背中に、真摯に語りかける。
「いいや、君は月城を変わらずに愛している。だからこんなにも苦しんでいるのだ。暁、月城は僕が必ず探し出す。
再び君と巡り会えるように、力を尽くす。
…だから、自分を傷つけるような真似はもうやめてくれ。お願いだ」


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