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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第13章 永遠の最果て
暁は堪らずに振り返る。
その大きな瞳には水晶の如く哀しみに煌めく涙が溢れていた。
その震える薄紅色の美しい唇から溢れ出したのは、激しい愛憎の言葉であった。
「愛していません!…あんな…あんな酷い男…!
…約束したのに!一人にしないって!約束したのに!
死ぬときは一緒だって…!約束したのに!
月城は裏切って、一人で行ってしまった!僕を置き去りにして!僕を捨てて!僕を…僕を…独りぼっちにして…!
…僕は月城を探すことも出来ないのに…そんなことをしたら…兄さんに迷惑をかける…ただでも心配をかけているのに…僕は…僕は…何も出来ない…月城の為に…何も…!」
絶望の言葉を吐き、泣き崩れる暁を大紋は強く掻き抱いた。
そして、尚ももがく暁を力ではなく優しい言葉で幼な子をあやすように宥める。
「もういい…分かったから…もう何も言うな…暁…」
子どもに還ったかのように号泣する暁の背中を大紋は優しく撫で続けた。
「…暁は悪くない…いい子だ…泣かないで…月城は君を捨ててなんかいない。君を守る為に失踪したんだ」
「…でも…何も言わないで…行ってしまうなんて…」
「君のためだ。聞かされたら君は心配して疑心暗鬼になるだろう?知らされたことで万が一、暁に害が及ぶ事を月城は恐れたのだ。君を少しでも傷つけないようにと、彼はそれだけを考えていたのだ…」

…僕には分かるよ…
大紋は暁の涙をハンカチで拭ってやりながら、切なげに…けれどユーモアを持って笑いかけた。
「…僕も月城と同じだから分かる。…君を愛しているからね」
暁ははっとしたように、貌を引きつらせた。
「…僕は…春馬さんに酷いことを言いました…貴方の気持ちにつけこんで…甘えて…酷いことを…」
大紋は陽気に笑った。
「本音を言えば、少し後悔してるよ。せっかくのチャンスだったのになあ…てね」
暁の瞳に新たな涙が溢れ出す。
「…春馬さん…」
大紋は父親のように暁を抱きしめた。
「月城は生きている。君に再び会うために、必死で生き延びているよ」
身体を離し、暁の白い頬に流れる涙を優しく拭う。
「…こんなにも美しく愛おしいひとを遺して死ぬ訳がない。大丈夫だ。僕が保証する」
「…春馬さん…」
大紋への感謝の気持ちが溢れ出し、言葉にならない。
「…どんな困難をも乗り越えて、君と月城は添い遂げる運命なのだ。」
愛の予言めいた言葉を告げて、大紋は優しく微笑んだ。

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