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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第13章 永遠の最果て
暁は翌朝、上質なスーツを身に纏い、礼也の前に現れた。
暁のスーツ姿は久しぶりで、礼也は目を見張る。
「兄さん、今までご心配をおかけしました。
今日から仕事に復帰します」
「暁…。大丈夫なのか?」
案ずる礼也に、暁は落ち着いた微笑みを浮かべて答えた。
「…兄さん、僕はここで月城を待ちます。僕は月城を信じます。月城は潔白です。いつか必ず帰ってきてくれます。
だからその日まで、僕は月城に恥ずかしくないような生き方をしたい…。
…フランスへは行きません。兄さんの心配はとても有り難いけれど…僕はここで、月城を待ちたいのです」
物静かだが、有無を言わせぬ信念を感じさせる言葉であった。
礼也は少し押し黙り、厳しい言葉を投げかけた。
「…もし、月城がずっとお前の元に帰らなくても?」
暁は表情ひとつ変えずに、真っさらな笑顔で答えた。
「帰らなくてもいいのです。僕は月城を信じて待ち続けたいのです」
暁の黒く澄み切った瞳には一切の迷いがなかった。
揺るぎない愛の表情が、そこにはあった。

礼也は小さくため息を吐き、両手を広げ暁を迎える仕草をした。
「…お前は美しい見かけによらず大変な頑固者だな。
誰に似たのかな?」
暁は満面の笑みで礼也の胸に飛び込む。
「…兄さんですよ、多分ね…」
苦笑しながら暁の額に額を合わせる。
美しい西洋古典の彫刻のような弟の貌を愛おしげにしみじみと見つめる。
「…そうかもしれないな。
お前はいくつになっても、私の中ではあの幼く頼りなげな少年のままなのかもしれない。だからつい、お前に過保護になってしまうのだ。
…それから、私はお前が…」
言いかけて言葉を途切らせた礼也に、暁は不思議そうに眉を上げる。
「兄さん…?」
ふっと礼也は我に返ったように瞬きをし、少し寂しげに首を振った。
「…いいや、なんでもない。
お前の運命のひとはやはり月城なのだと、今お前の眼を見て思い知らされたのだよ」
暁の美しく煌めく瞳に喜びの涙が溢れ出す。
「兄さん…!ありがとう…兄さん…大好きです!」
しがみつくように抱きついてくる暁を、礼也は慈愛を込めて抱き返し、そっと囁いた。
「私もお前が大好きだよ、暁…」
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