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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第13章 永遠の最果て
「…そんな…酷い…!」
「校長は神父だったが、幼児性愛の変態クズ野郎だった。
…俺は無我夢中で奴を殴りつけ、妹を助け出した。
奴は俺の首を絞めた。俺は力を振り絞り、近くに落ちていた聖体拝領のパンを切るナイフで奴を刺した。
奴は燭台で俺を殴りつけた。
この片目はその時に潰された跡だ。
俺は真っ赤な視界の中、無我夢中で奴を刺した。手探りで刺して刺して刺しまくって…我に返った時に奴は血溜まりの中で事切れていた…」
蒼ざめる暁に、鬼塚は晴れやかに笑った。
「俺は奴を殺した。だが今でもそのことに一片の後悔もない。もしあの時に戻ったとしても、俺は同じことをするだろう」
暁は掠れる声で尋ねた。
「…それで…貴方は…?」
「俺は感化院送りになった。校長の醜聞が漏れぬよう、真実は封印され、俺が突然凶行に及んだということに口裏は合わされた。
俺は問題のある凶暴な少年ということで感化院でも腫れものを扱うような目で見られた。
感化院に入って一年目、憲兵隊の上級将校が視察に来た。
一人の将校が俺に目を付けた。
彼は武闘派の将校で、子飼いにする部下の卵を探していたんだ。
俺の経歴を聞き、興味を持った。
ここから出たいか?と聞いた。ここから出たいならこれから自分の命令は全て聞け、歯向かうな、服従しろ。
…その代わり、私はお前に力を授けてやる。
誰もが恐怖し、従う絶対的な力を授けてやる。
…そう言った。
俺は頷いた。力が欲しかったからだ。妹を守り、自分を守る力が。
その日から俺はその人の養子になり、血の滲むような訓練を受けた。誰よりも強くなる為の…人間としての感情を全て無くす為の地獄の訓練だ。
そうして俺は二十になると憲兵隊に入隊し、犬のように上官の命令を聞いた。暴行しろと言われたら即座にした。殺せと言われれば問答無用で殺した。
…加えてこの容貌だ。同じ隊員の者たちも俺を恐れた。
気がつくと、俺は破格の出世を遂げていた。
検挙した容疑者はもう数えきれないほどだ。貌も名前も覚えてはいない。
…俺を育ててくれた将校…養父は三年前に、夫を獄死させれたことを恨みに思っていた妻に撃たれて亡くなった…。
俺もいずれは養父と同じ運命を辿るのだろう。
しかし後悔はない。俺は…これからも自分の道を行くだけだ。ほかに道はない」

暫く押し黙っていた暁が、小さな声で尋ねた。
「…妹さんは…どうなったのですか…?」

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