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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第13章 永遠の最果て
月城が轟の家に向かおうとした時、憲兵隊の鬼塚少佐が縣家の夜会に現れたとの報が縣家の執事、生田により齎された。

…憲兵隊の捜査の手が暁様にも伸びている…⁈
月城は愕然とした。
…私のせいだ…!
暁を肉体的、精神的…そして社会的に傷付けることは自分にとって、自分の死よりも恐ろしいことだった。
…暁様だけは決して穢されてはならない。
憲兵隊にも、世間の醜聞からも…あらゆる醜いものから、暁様を守らなくてはならない!

だがその一方、轟の妻子も守らなくてはならない。
轟が死を掛けて自分に託したのだ。
その願いを無下に拒むことは出来なかった。

大恩ある北白川家に迷惑をかけることは出来ない。
反政府運動の首謀者の家族を逃亡させるということは、自分にも反逆の容疑がかかるということだ。
このまま北白川伯爵家の執事として留まる訳にはいかない。
月城は北白川伯爵家に宛てて決意の辞表をしたためた。

その夜、月城は暁を万感の思いを込めて激しく抱いた。
抱けば抱くほどに、暁への想いは募った。
白く儚げな雪のような肌…あえかな花の薫りの幾度抱いても飽きることのない狂おしいほどに愛おしい躰…。
月城が齎す快楽に従順な無自覚に魔性を秘めた稀有な躰だ。
この躰だけでなく、その中に宿る繊細で気高い彼の精神をも心から愛している。

…愛している…!
この命を失っても構わないほどに、暁様を愛している。

このまま暁を連れて誰も知れぬ土地へと逃げてしまいたかった。
だが、出来ない。
暁を醜聞に晒すことも、彼に全てを失わせることも…。
月城には、何一つ出来なかった。
深すぎる愛ゆえに、出来なかったのだ。

…そうして、月城は暁の前から何も告げずに姿を消したのだった。



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