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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第13章 永遠の最果て
…いいえ、もうご結婚なさっているのかも知れないわ…。
その方はどんなにお美しい方なのかしら…。
月城さんが、愛するひと…。

芙美の胸は痛んだ。
まだ見ぬ月城の配偶者を妬むような自分を振り払うように、敢えて明るく尋ねてみる。
「月城さん、お聞きしてもいいですか?
…奥様は…どんな方ですか?」

月城の歩みが不意に止まった。
その形の良い綺麗な背中が、僅かに強張ったのが見て取れる。

「…とても…美しいひとです」
月城は芙美を振り返らずに答えた。
万感を込めたような言葉であった。
「とても美しく…その心は水晶のように透明で繊細で…」
歌うように続けた言葉は、賛美だらけの言葉だ。
だが、惚気のようには聞こえないのはその声の温度であろう。
乾いた…寂寥に満ちた声が、月城の最愛のひとを表現する。


…やはり奥様はいらしたのだ…。
芙美は自分でも予想外の衝撃を受け、そのことに狼狽えた。
…しかも美しいひと…水晶のように美しく、繊細なひと…。
そう…やはりそうなのだ…。

「…そうではないかと思っていました」
…こんなに…彫像のように美しい男の妻は、それに相応しく…やはり美しいひとなのだ…。
…どんな方なのだろう…。
こんなにも美しい男に愛される幸せなひとは…。
同じ屋敷で働くひとなのだろうか?
…それとも…。


「…けれど…もう…」
ぽつりと呟いた月城の声は、潮風に掻き消されるほどに弱々しかった。
その表情は窺い知ることは出来ない。

芙美が訝しげに口を開こうとしたその時、月城が振り返った。
「私のことより…芙美さんのこれからの話をしたいのです」
その表情は静謐に整い、何の乱れもない…もはやいつもの月城であった。



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