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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第13章 永遠の最果て
「…月城さん、これが轟から預かった内務省の重要機密です」
昨夜、芙美は一通の封書を月城に差し出した。
「…私はもう反政府運動は辞めます。
春さんに言われて気づきました。
自分の子ども達も幸せにできなくて、社会や人々を幸せにすることはできない…て。
でも、ここにいて私がこの機密を持っていたら、春さんに迷惑がかかります。
だから、この文書を月城さんに預けます」
芙美の表情や言葉には一切の迷いもなかった。
凛とした母としての強い決意がそこにはあった。

月城は封書を大切にワイシャツの胸ポケットに仕舞った。
「よく決意してくれました。
…あとのことは私に任せて下さい」
月城は春に向き直る。
「春さん、芙美さんと子ども達を…どうぞよろしくお願いします」
春は頼もしく頷いた。
「分かったよ。ここは子どもを育てるにはのどかでいい所だ。
…いきなり別嬪さんの娘と可愛い孫が二人も出来て…あたしゃ、得した気分さ!」
涙ぐむ芙美を笑わせる。

そして、ふと真顔になると月城を見た。
「…だけど、あんたは大丈夫なのかい?
こんなものを持って…暁様と二人で、どこに行こうと言うんだい?」

月城は隣に寄り添う暁を見つめる。
「大丈夫です。…私には、暁様がいて下されば何でもできると分かったのですから…」
そして…と、暁の白く美しい手を握りしめた。
「…私達は、もう二度と離れないと決めたのです」
暁は、その儚げな美しい貌をうっすらと桜色に染め、月城を見上げ、幸せそうに笑った。
「…月城…。ありがとう…」

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