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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第13章 永遠の最果て
暁は静かに啜り泣いた。
「…兄さん…!」
月城は、はっとした。
…私は…礼也様に頭を下げさせ、暁様を泣かせ…そんなことまでして、一体何にこだわっているのだろうか…。
プライド?正義感?伯爵様への献身?
…そんなことは瑣末なことに過ぎないのに…。
…私は…いつまでも公を捨てられないのだろうか…。

…いや…。
月城は首を振る。
…捨てなくてはならないのだ。敢えて自分から…。
自分から公を捨てなくては、暁様とは対等になれない。
対等にならなくては、暁様と一緒に生きることはできないのだ。

…礼也様…。
北白川家に執事見習いとして屋敷に上がってから、ずっと礼也のことを見てきた。
彼は月城の理想の男性だった。
初恋の梨央の後見人にして婚約者…。
縣鉱業を始めとして、多くの財閥を有する大貴族の御曹司…。
美しい容姿、西洋人にも引けを取らない逞しい体躯、高い知性、優雅でユーモアに富み、スマートな社交術で上流階級の全ての令嬢の心を掴む…世の男性なら礼也を羨望しないものはいないであろう…それほどに完璧な貴公子であった。
礼也は月城に常に親切に親しげに接して来た。
だが、月城は礼也のように打ち解けることはできなかった。
男爵と執事という身分差の垣根は、容易く乗り越えられるものではなかったのだ。
礼也の友情はいつも月城に差し出されていたというのに…。
月城が、自分で垣根を作っていたのだ。

…暁と愛し合うようになり彼を心から愛していても、やはり身分差という概念からは完全には解き放たれることはなかった。
自分より暁のことを重んじる余り、暁に寂しい思いや不安な思いをさせてしまったのだ。
…本末転倒ではなかったのか…。

亡くなった轟の無念に思いを馳せる。
…彼はどんなに妻や子どもたちのことが気掛かりだったことだろう。
恐らくは社会のことよりも…妻子が心配だったに違いない。

…人生は短い…。
暁様と愛し合える時間は、ほんの僅かかも知れないのだ…。
この愛おしく美しいひとと今生で過ごす時間は、奇跡そのものなのだ…!

月城は握りしめられた礼也の手の上に、そっと手を重ねた。
礼也が月城を見上げる。
「ありがとうございます。礼也様。
…私は、貴方からのご恩をどうやってお返ししたら良いのでしょうか…」

礼也はいつものように朗らかに笑った。
「…暁と、幸せになってくれたらそれでいい」
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