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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第13章 永遠の最果て
月城は生田に目で合図を送る。
生田は黙礼をすると、そのまま素早く別棟へと姿を消した。

月城は鬼塚を部屋に招き入れる。
真っ青な貌で微動だにしない暁に、鬼塚は笑いかけた。
「かわいそうに…。反逆者の旦那を持つと苦労するな、奥さん」
「何をしに来た⁈月城は、反逆者などではない!」
鬼塚を睨みつける暁を、月城は自分の背後に庇う。
「暁様、大丈夫です。私にお任せ下さい」
優しく宥められ、暁は涙ぐみながら月城を見上げてその手を握り締める。
「…月城…!」
離れがたい様子で月城にしがみつく暁を、鬼塚はやや苛立ったように一瞥し、ソファに尊大に座る。
「で?俺と取引とは?どういうことだ?」

月城は鬼塚の前に立ち、胸ポケットから機密文書を取り出し、広げて見せた。
鬼塚の表情が一気に変わった。
「貴様!やはり貴様が持っていたのか!」
取り返そうとする鬼塚をしなやかにかわし、月城は静かに微笑んだ。

「これが首相の元に届いたら、大変なことになりますね。…貴方がた将校の署名と血判まで押してある…正に動かぬ証拠だ。
これを轟が持ち出した事が分かったから、貴方は轟を拷問し、挙句の果てには惨殺したのだ。
…口封じの為に…!
なんて卑怯な…!」

鬼塚は鋭い眼差しで睨みつける。
「返せ。貴様…!これを持っているということはどうなるか分かっているのか?…貴様はもうここから生きては出られないということだぞ⁈」
「たかが紙切れ1枚の為に?馬鹿馬鹿しい!
…人の命より大切なものなどないのですよ。
そんなことも分からないで、何がクーデターですか!
私は貴方を憎みます。轟を殺し、他にも…歯向かうものを虫けらのように殺す貴方を…決して許さない!」
凄まじい怒りの感情を込め、言い放つ。
月城は卓の上に置いてある燐寸を擦り火を点けると、素早く紙を燃やし始めた。
鬼塚は血相を変え、月城に飛びかかる。
「貴様!何をするんだ!俺たちの命の血判状だぞ!」
鬼塚を振り払い、めらめらと燃え上がる紙片をマントルピースに投げ捨てる。
「…こんなものの為に…!轟は…!」

機密文書はあっと言う間に紅の炎となり、激しく火花を散らした。
やがてそれは黒い煤を上げ真っ黒に燃え落ち、暖炉の煉瓦の上に儚く散っていった。

鬼塚が腰のベルトに付けたホルダーから短銃を抜き、月城に向けた。
「…貴様…!殺す…!」

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