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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第13章 永遠の最果て
「…んんっ…!…は…ああ…っ…ん!」
苦しげに悶える暁の貌に近づく。
「黙れ…黙れ…!」
暁の首を絞め上げながら、その唇を貪り尽くそうとする。

その隙を突き、月城が壁に掛かっているフェンシングの剣を掴むと、そのまま鬼塚の右手の短銃目掛けて振り落とした。

「…ッ…!」
短銃が鈍い音を立てて、床に転がった。
鬼塚が反撃に出る前に月城はその襟首を掴み、暁から引き摺り下ろす。
男にのし掛かかり、激しく殴りつける。
「殺す!よくも…よくも暁様に…!許さない…!絶対に許さない!」

咳込んでいた暁は、月城の鬼気迫る形相に弱々しく声をかける。
「…月城…やめて…」
「殺してやる…!暁様を穢そうとしたお前など…殺してやる…!」
狂ったように殴りつける月城に、鬼塚も下から蹴り上げ反撃をする。
軍隊で鍛え上げられている鬼塚は、その腕力で月城を身体で抑え込み、拳を振う。
「殺せるものなら殺してみろ!俺がその気になれば貴様などあっと言う間にお陀仏だ!
…そのあと、貴様の命より大事な暁様は俺が頂いてやる!馬鹿め!思い知れ!」
鬼塚が床に転がっていた短銃を拾い上げ、月城のこめかみに当てた。

暁が血を吐くような声で叫ぶ。
「やめて!」

…不意に部屋の扉が激しく叩かれた。
体当たりでぶつかる音が響き、扉がこじ開けられる。
「暁…!無事か!」
暁が振り返り、眼を見開く。
「春馬さん…!」
飛び込んで来た男は、大紋であった。
「助けて!月城が!」
縋り付く暁を抱きとめ、その緊迫した場面に息を飲む。

大紋は間髪入れずに鬼塚に近づく。
「やめなさい!馬鹿な真似をするな!」
「貴様、何者だ⁈邪魔をするな!」
荒ぶる鬼塚を説得するようにゆっくりと近づく。
「拳銃を離しなさい。…憲兵隊将校が縣男爵家で発砲などしたら大問題になるぞ。縣は陸軍省のお偉方とも懇意だ。新聞は大々的に書き立てるだろう。君一人の処遇では済まぬほどにな」
鬼塚の一瞬の迷いを月城は逃さなかった。
下から男の腹を蹴り上げ、鬼塚を突き飛ばす。

自由になった月城に暁が駆け寄る。
「月城!」
「暁様…!」
硬く抱き合う二人に、鬼塚が嘲笑するように短銃を向けた。
「二人とも仲良くあの世に送ってやる!」

月城は咄嗟に暁を身体で庇う。
銃口から乾いた銃声が響く。
…二人の前に飛び出した男が、崩れ落ちる。
月城が叫んだ。
「大紋様!」

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