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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第13章 永遠の最果て
崩れ落ちた大紋に暁が駆け寄る。
「春馬さん!春馬さん!」

月城が鬼塚の短銃を蹴り上げ、男をうつ伏せに捉えると容赦なく殴りつけた。
「…馬鹿め…こんなことで…勝ったつもりか…」
「死ね…!お前のような男に、生きている価値はない!」
月城は今度は手加減しなかった。
激しく殴打され、鬼塚はやがて意識を失いぐったりと倒れ込んだ。

暁は春馬を抱き起す。
「春馬さん!春馬さん!しっかりして…死なないで!」
暁の腕の中で、大紋はゆっくりと眼を開く。
涙を零す暁を見上げると、いつもの温かい笑顔で笑った。
「…脚を撃たれただけだ。しかもかすり傷だ。
…奴は本気ではなかったんだな…」
動揺が止まらない暁は、首を振り続ける。
「喋らないで…今、止血をするから…」
上着の隠しから白い手巾を取り出し、大紋の脚の手当てをしようとする暁の手を捉える。
「…僕は大丈夫だ。礼也が君達の密航の準備が整ったと…早く下に行きなさい」
「嫌だ…!こんな…春馬さんを残して…いけない…僕たちの為に撃たれたのに…」
大紋は痛みに眉を寄せながら、しかし朗らかな笑い声を立て、月城に目配せした。
「悪いな、月城。今だけ暁との時間をくれ。
…もうすぐ会えなくなるからな…。恐らく、相当な長い間…」

鬼塚を縛り上げていた月城が小さく頷く。
「…大紋様…」

大紋は暁を見上げ、その手を伸ばし涙を拭ってやる。
「泣かないでくれ。…僕は最後まで君を泣かせてばかりだったな…。
暁…。笑ってくれ。僕は君の笑顔が大好きなんだ…。
最後に思い出すのが君の泣き顔では切なすぎる…」
白磁のような白い頬に涙を伝せ、必死で笑顔を作る。
「…そうだ…暁。君に涙は似合わない。君には笑顔が一番似合う。
…これからずっと…月城の隣で笑っているんだ…。
約束だぞ…?」
かつて、少年の暁にそうしたように少し震える手で、大紋は暁の髪をくしゃくしゃと撫でた。

廊下から慌ただしい複数の足音が近づく。
「暁、月城、大丈夫か?早く車に…春馬!どうしたんだ!撃たれたのか⁈」
礼也が仰天しながら足早に駆け付ける。
「…かすり傷だ。問題ない」
ただの捻挫だとでも言うように笑う。

礼也は素早く背後の生田と泉に指示を出す。
「生田、日赤に連絡しろ、車の用意を。泉、春馬の傷の手当てを」
「落馬して骨折した時はもっと痛かったぞ?」
…気にするな…と暁に微笑みかける。

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