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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第13章 永遠の最果て
礼也が皆を下がらせ、自ら闖入者に向かい立ちはだかる。
傍若無人に押し入ってきたのは、憲兵隊隊員達…鬼塚の部下らであった。
見張りを命じられたものの、なかなか上官が出てこないので不審に思ったのだろう。

リーダーと思しき一人の憲兵が礼也を見、一瞬その威風堂々たる大貴族ぶりにたじろいだ。
戦争の足音が日増しに高くなる昨今、上質な舶来のスーツに身を包んだ欧米人並みに逞しい体躯をした礼也を見て、一目でこの屋敷の主人だと察したのであろう。
明らかに劣等感を露わにした…やや戸惑うような素の表情をした。
だが憲兵は慌てて体裁を繕い、高飛車に声を放った。
「貴様ら、どこにゆくつもりだ⁈」
礼也は少しも動じずに余裕に満ちた微笑みを浮かべる。
「おかしな質問だな。ここは私の家だ。どこに行こうと私の自由…。しかも何の許可もなく扉を壊し侵入しようとする狼藉者に答える義務はない」
「何を⁈貴様…!」
気色ばみ、銃に手を掛けようとした憲兵に礼也はゆっくりと近づくと、まるで楽しい話をするかのように打ち明けた。
「…君たちの上官は二階の客間で失神しているよ。
早く行ってやりたまえ」
「な、何ッ⁈どういうことだ⁈」
眼を剥く憲兵に礼也は眼差しを鋭くした。
「彼は罪もない民間人に発砲した。
…しかも撃たれた人物は元内務大臣、西坊城氏の愛娘の婿殿だ。それも大層大切にされている…ね。
西坊城閣下はどれだけ激怒されることだろう。
鬼塚少佐の厳罰は推して知るべし…もちろん君たちの処遇にも関わってくるだろうね」
憲兵達の顔色が見る見る内に蒼白になる。
「に、西坊城閣下の…⁈」
礼也は冷たく言い放つ。
「…ここで君たちが我々の行動に目を瞑れば、西坊城氏に口添えしてやらないでもない。
…君たちも馬鹿でなければ、どちらが得する道か…火を見るより明らかだろう」

憲兵は苦々しげに唸ると
「…退け!」
と礼也を突き飛ばすように中に入り、部下らを引き連れ軍靴の音を響かせながら大階段を駆け上がっていった。

光が礼也に抱きつき、キスを送る。
「礼也さん!素敵!なんて頼もしいの!益々貴方が好きになったわ!」
礼也は悪戯っぽく笑い、光にキスを返す。
そして、暁と月城に陽気に目配せしてみせた。
「…春馬に感謝しなければな…」


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