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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第14章 Coda 〜last waltz〜
目の前に突然現れた人影に、司は驚き声を上げた。
「わ!びっくりした!…泉…?」
ガス灯に照らされた背の高い男の端正に整った貌を見上げ、目を丸くする。
「どうしたの?こんな雪の中で…」
「司を待っていたんだ」
敬語ではない話し方に、意外に思いながらも司はつんと貌を背ける。
「何?何か用?」
司は最近、他人行儀な態度を崩さない泉に不満を持っているのだ。
「司に1秒でも早く逢いたかったから、ここで待っていた」
常ならぬ熱い情熱を露わにした泉に司は戸惑う。
「…急にどうしたの?いつもの泉じゃないみたい」
泉は司をじっと見つめる。
…銀狐の毛皮を着た司はまるでお伽話の王子様だ。
艶やかな亜麻色の髪、色素の薄い琥珀色の美しい瞳、肌はミルクのように白く、寒さのためか頬が少し薔薇色に染まっているのが堪らなく愛らしい。
不意に司への愛おしさが昂まり、泉はその華奢な身体を抱き竦めた。
「…ちょっ…どうしたの…泉…?」
たじろぐ司を泉は更に抱きしめる。
「…黙って…。少し…このままでいさせてくれ…」
一瞬抗いかけた司はふっと力を抜き、溜息を吐きながらやや甘やかな声で囁いた。
「…運転手の柴田さんが戻ってくるよ…」
「構わない…」
司の芳しい白いうなじにくちづけるように唇を寄せる。
「…執事の制服を来ている時には僕に触れないんじゃなかったの?」
…執事の制服を着ている時には、お前を愛さない。
恋人同士にはならない。

そう禁欲的に言い渡され…司はあれから泉に一度も身体を求められてはいなかったのだ。
愛し合った新年からもうすぐ一年が経つ。
司が寂しげにしているのをわかりつつも、どうすることもできなかった。
兄が失踪し、暁が精神的に参っている時に、とても司と愛し合う気にはなれなかったのだ。
…けれど、それは余りに思い遣りのない行為だったと、今は激しく後悔していた。

「…ごめん、司…。ごめん…ごめん…」
謝る毎に抱きしめられる力を強くされ、司は喘ぐように声を上げる。
「…どうせ…僕に魅力を感じなかったんでしょう?
一度寝たら充分だ…て」
放って置かれた寂しさから、つい憎まれ口を聞いてしまう。
…そんなこと…泉が思う訳がないのに…。

「そんな訳ないだろう⁈…俺は…お前を愛している…」
怒ったように顎を掴まれ…あっと言う間もなく、司は泉に唇を奪われていた。





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