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夏の華 〜 暁の星と月 Ⅱ 〜
第14章 Coda 〜last waltz〜
「…お前、高等部を卒業したら、江田島の海軍士官学校に進学するって本当なのか?」
暁人は驚いて貌を上げた。
まだ担任の教師に進路希望票を出しただけで、誰にも話していないことだったからだ。
「誰に聞いたの?」
「誰だっていいだろう。本当なのか?」
怒りを含んだ眼差しで詰めよられ、暁人はひと息吐くと、頷いた。
「…うん。そのつもりだ。僕はいずれ海軍に入りたいんだ」
「何で⁈海軍て…軍隊なんかに入っちゃったら戦地に行かされるじゃないか!」
「…薫…」
「だめだよ!絶対にだめ!士官学校になんか行ったら絶対だめだ!第一、小父様も小母様もそんなこと、許すもんか!」
地団駄を踏んで怒りを爆発させる薫を宥めるように、暁人は口を開く。
「…うん。お母様は反対するだろうな…」
「そうだよ!」
「お父様は…どうかな。僕の気持ちを聞けば反対しないかも…」
思慮深く話す暁人の肩を、焦ったそうに揺さぶる。
「暁人!士官学校なんかに行ってどうするんだよ!
お前みたいな秀才は帝大に行って春馬小父さまのような優秀な弁護士になればいいんだよ!その方がお前に合っているじゃないか!」
必死で捲くし立てる薫を落ち着かせるように、その手を握りしめる。
「…薫。聞いて。…江田島の海軍士官学校の井ノ上校長先生はね、とても進歩的で革新的な考え方をお持ちの方なんだ。
僕は先日、父の紹介で井ノ上先生と直接お話しする機会があったんだけど、とても感銘を受けたんだ。
海軍士官学校では、今どの学校でも廃止になりつつある英語の授業が今も続けられているんだ。
上層部から廃止するようにとのお達しがあった時、井ノ上先生は一喝されたそうだよ。
…どこの世界に自国語しか話せない士官や将校がいるというのだ。敵を知るにはまず、敵の言語を知らなくてはならない。我が海軍士官学校では絶対に英語教育を廃止したりしない。世界を見渡せ、世界と渡り合える士官を育成する為に…てね。
井ノ上先生はとても広い視野で日本を…世界を見ておられるんだ。僕はこんな先生の元で教育を受け、海軍士官になりたいと思ったんだ」

薫は忌々しそうに暁人の手を振り離し、叫んだ。
「一体何の為に⁈お前は今まで軍隊なんて全く興味なかったじゃないか!そんな校長の話を聞いて、何でいきなりその気になるのさ!」




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