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終止符.
第12章 秘密
「やあ、よく来てくれたね立花君。ちょっと痩せてしまってね、びっくりしたかね…わっはっは…まぁそこに掛けたまえ。」

緊張した面持ちの奈緒を見つめ、嬉しそうに笑みを浮かべる藤田に以前の迫力はなく、痩せこけた顔は柔和と言うよりも鼻筋が目立つ細面の初老の男に見えた。

「社長…」

奈緒は座らなかった。
ベッドの横に立ったまま言葉につまり、挨拶する事すら忘れていた。

篠崎は少し離れて二人を見つめた。


「花は届いたかな?」

「は、はいっ…お気遣いありがとうございました。有難いお言葉にも感激致しました。今日は篠崎部長に無理にお願いしてお礼に伺わせていただき申し訳ございません。本当にありがとうございました。」

奈緒は深々と頭を下げた。

「そうか、喜んでくれたとはありがたい。こんな病人でもかわいい部下を喜ばせる事ができるんだね……あぁ、もう部下ではないのか、いや残念、ハハハ。」

藤田が見せた照れるような笑顔に奈緒は目を見張った。


「っ……」


純だ
純の笑顔

あぁ、純…

あなたの明るさは
この人とよく似てる



「…私はそんなに変わってしまったのかな? まばたき位はしてもいいんだよ、わっはっは。」

「も、申し訳ございません。」

奈緒はまた頭を下げた。

「なぁに、ガンだと言われて最初は私もこれまでか、とジタバタしてしまったけどね、どうやらまだ生きられそうだ…、いつまでも痩せこけているわけではないから君、今のうちに珍しいこの姿をよく見ておきなさい、はっはっは…」


「お元気そうで安心しました。」

奈緒は微笑んだ。

「うむ、ありがとう。」


「失礼しますよ藤田さん、回診です。」


ナースの声に続いて医師が入ってきた。


「立花さん、そろそろ…」

篠崎が声をかける。


「はい。…社長、お大事になさって下さい。お世話になりました。本当にありがとうございました。」

「うむ、寂しくなるね、たまには顔を見せなさい。わざわざありがとう。」

「はい。それでは失礼致します。」


奈緒は丁寧に一礼し、医師とナースに会釈しながら病室を出た。


「立花さん、先に1階の喫茶店で待っていてくれないか? 主治医の話を聞いたら私もすぐに行くよ。」

「はい。では後ほど。」

「うむ。」

奈緒は篠崎にお辞儀をして喫茶店へと向かった。

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