この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
終止符.
第13章 ひとり
奈緒は仰向けに寝て深く息を吸い込み、ゆっくりと吐き出した。

コトコトと胸の鼓動が早くなり落ち着かない。

純の声が耳に残り、目を閉じるとマウイ島のあの夕暮れが浮かび上がる。


純は少し変わった。


そんな気がした。
電話のせいだろうか。

なかなか止まない胸の鼓動に奈緒は戸惑い、何度も寝返りをうつ。


放っておこう。

別に私とは何の関係もない事だ。
気を揉んでもしょうがない。
純の問題だもの。


奈緒は自分にそう言い聞かせ、目を閉じた。

胸がかすかにときめいている事を、奈緒は認めようとはしなかった。

浅い眠りに何度も目覚め、そんな自分を持て余していた。



────────

約束の日の前日、篠崎から電話が入った。

『電話してすまない。ちょっと頼みたい事があって…』

純の事だろうと奈緒は思った。

『はい、何でしょうか?』

『寺田さんから彼が帰国したと聞いてね。』

『はい。』

『もしも機会があったら…』

『はい。』

『彼の、母親の名前を聞いて欲しい。…加代子さんだと、社長が言っておられるんだが…』

『…わかりました。谷口加代子さんですね。』

『あぁ。こんな事に君を巻き込んでしまって…』

『構いません。あの、社長の体調は?』

『うん、なんとか出社できるようになられた。』

『そうですか安心しました。……それで、社長は彼をどう思っていらっしゃるんでしょうか?』

『うむ、会いたいらしいよ。……彼が望んでくれるのであれば。』

『そうですか…。でも私は…、それを彼に勧めることはできません。彼を傷付けたくないんです。』

奈緒はまた怒りが沸いてきた。

『うん、もちろん彼の気持ち次第だと、私も社長も理解しているつもりだよ。』

篠崎は奈緒をなだめるようにそう言った。

『本当ですか?』

『本当だ。』

『それなら、別に、いいんです。』

奈緒はほっとした。

『立花さん、君…』

『はい。』

『いや、いいんだ。』

『えっ?』

『悪いけど、さっきの事よろしくお願いします。』

『はい。あの…』

『ん? 』

『こちらからご連絡差し上げても構わないんでしょうか?』

『あぁ…もちろんだよ。…君はもう、大丈夫なんだね。』

篠崎の声が一段と優しくなった。

『えっ?』

『急がなくていいからね、連絡待ってるよ。』


/198ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ