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終止符.
第15章 痛み
「どうして…わざわざ僕にそんな事を教えてくれるんですか?
愛人の子供ですよ、放っておけばいいじゃないですか…、生まれて来なければ良かったと、思わせておけばいいんだ。
僕は、少女だったあなたが、そんな痛みを抱えて今日まで来たなんて……、ぼ、僕ならみんなを恨む…みんなを憎む… 」


純は目に涙を浮かべながら愛子に訴えた。


「純…あなたの存在を知ったのは篠崎と結婚する前でした。」


愛子は純の手をトントンと軽く叩き、優しく微笑んだ。

「肩の荷が下りたような気がしました。でもそれは一瞬だけで…それは私の傷を消してはくれませんでした。
母の死によって、罪を被せられた罪のないあなたに、私は隠れようとしただけなんです。
……でも、穢れのない命が自分の身体に宿ったと分かった時、この子と向き合って生きる為に、暗く沈み込んだ私の痛みを、一度は私達を捨てた父にぶつけて泣きたかったんです。」


奈緒は胸が痛かった。


自分は何?
篠崎と朝までホテルで過ごして喜んでいた私は何?



愛子は感情を押さえて冷静に話してはいたが、その手は純の手を握りしめ、俯いていた。


「どうしてそうしなかったんです。」


純は泣きながら言った。

「…父が、癌だと分かって…」

「あぁ…」

「純、私はあなたを救う為にここへ来たんじゃないんです…」

「えっ?」

「父に言えば更に父を苦しめる事になる真実でも、あなたにぶつけたなら、あなたも少しは楽になる、そんなあなたに私も癒されると思ったんです。
自分の為に、そうしたかったんです。」

愛子はバッグからハンカチを取り出し、そっと涙を拭った。


「あの…他には、何かありませんか?」

「えっ?」

「僕に言いたい事。」

「……いつか…父を訪ねてあげてください…。あなたの事を、とても気にしています。…それから…私の娘を、見に来て下さい。」


小さな声だった。


「…いつか…、きっと行きます。」


「ありがとうございます。」


愛子は安心したようにほっとした顔になり、純に頭を下げた。

純は奈緒を見て微笑みながら頷いた。


もう、純は天涯孤独なんかじゃない…。

二人に暗い影を落としている痛みはいつかきっと消える。


奈緒は、愛子と純はお互いが支えになるのではないかと思った。


愛子がどこかへ電話を掛けた。


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