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終止符.
第5章 霧の中
「一緒に入ってもいい?」

純がシャワーカーテンから顔を覗かせる。

「だ、だめ…」

「………」

「な、なによ。」

「凄く、きれい…」

「…やめてよ、もうあなた達のように若くはないのよ。」

奈緒は泡をつけたままの身体を手で隠そうとして焦った。

「出て行って。」

「………」

「見ないで。」

「僕がシャワーを浴びている間に帰っちゃうんでしょう?」

「………」

「だから一緒に入る。」

「ちょっと!」

狭いバスタブが純でいっぱいになった。

「流してあげる。」

シャワーを手に純が奈緒の泡を流してゆく。

「………」

純の手が背中を撫でる。

「こっちを向いて。」

「自分でできるわ。」

「だめ。」

「………」

「奈緒さん。」

「恥ずかしいから。」

「……じゃあ、僕の背中を洗ってくれる?」

「いいわよ。向こうを向いて。」

純の広い背中を洗いながら、どうしてこんな事をしているのだろうかと不思議に思う。

篠崎を求めながら、若すぎる純に翻弄される。

篠崎は妻とシャワーを浴びながら、私を想ってくれるだろうか。

冷たい家庭ではなく、平穏な家庭を装っているのだろうか。

純が振り向く。

「こっちも洗って。」

「あなたって甘えん坊なのね。」

純が照れて笑う。

引き締まった美しい身体に泡を纏わせ、熱く反応している場所で手を止める。

「困ったわ。」

「自分でやります。」

「ふふっ…」

奈緒はシャワーを身体に浴びながら笑った。

「奈緒さん。」

泡だらけの純が言う。

「僕、今日初めて女性と一緒にシャワー浴びてる。」

「えっ?」

「今日初めて好きな人を抱いたんだ。」

「………」

シャワーを壁に引っかけ、頭から浴びる純を、奈緒はただ眺めていた。

シャワーの音だけが響く。

「好きでもない人ばかりを相手にしてたの?」

「………」

「………」

シャワーを止め、壁に両手をついて純は黙り込んだ。

「べつに、知らなくてもいい事だわ。」

「僕は…」

壁に向かって純が話す。

「自分の母親を……抱いて慰めてた。……ずっと…道具だったんだ。」

「………」

「僕は汚れてる。」

「………」


なんて事を…


「奈緒さんはきれいだよ。凄くきれいだ。眩しいよ。」

純が美しく儚げに笑った。


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