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終止符.
第6章 狭間(はざま)

憂鬱な日々が過ぎてゆく。
木曜日の夜、帰宅した奈緒は純の部屋のチャイムを鳴らした。
「はい。」
「あの、奈緒です。」
「奈緒さん? 今開けます。」
純がドアを開け顔を覗かせた。
「こんばんは。」
「嬉しいな。どうしたんですか? 中にどうぞ。」
「ちょっとお願いがあって。すぐに済むからここでいいわ。」
純は外に出てドアを閉じた。
「明日、楽しみですね。」
「…その事なんだけど…」
「口止めですか?」
「えぇ、そう。」
「わかってます。奈緒さんを困らせたりしません。」
「よかった。お願いします。」
「奈緒さん。」
「……」
「最後まで一緒にいてくれますよね。」
「……」
「奈緒さん。」
「用があるの。」
「それなら奈緒さんが帰る時に僕も帰ります。」
「あなたの為の集まりなのよ。」
「僕を避けてる。」
「そうよ。」
「僕…ドタキャンします。」
「えっ?」
「奈緒さん、終わったらここに帰ってきてください。僕の部屋に。」
「バカな事言わないで。明日はちゃんと来てちょうだい。いいわね。」
奈緒はそう言い残すと自分の部屋のドアを開け、バタンと閉じて鍵を掛けた。
携帯が短く震える。
『明日の晩、会えるかな?』
篠崎からだった。
「部長…」
篠崎に逢いたかった。
抱きしめて欲しかった。
『ごめんなさい。
友人達との約束があって、帰宅が遅くなりそうなんです。
本当にごめんなさい。
部長、凄く会いたかったです。』
『残念だね。
また連絡するよ。
奈緒、明日はあまり飲み過ぎないように。』
『はい。
おやすみなさい。』
深いため息が漏れる。
気掛かりは明日の食事会の事だった。いや、それよりも、その後の事だった。
純を拒否する自信がなかった。
奈緒を見つめる純の目に、心は乱れる。
篠崎に逢いたかった。
篠崎に抱いて欲しかった。
奈緒はベッドの上で膝を抱え俯いた。
……心なんかいらない
純の声が聞こえる。
……べつにいいじゃない
奈緒の心が奈緒に囁く。
……凄く感じていたじゃない
奈緒は揺れていた。
篠崎と純の間で。
自分自身の心と身体の間で。
甘い誘惑に心が疼いている事を、奈緒は何度も首を振って打ち消そうとしていた。
違う
違うの
木曜日の夜、帰宅した奈緒は純の部屋のチャイムを鳴らした。
「はい。」
「あの、奈緒です。」
「奈緒さん? 今開けます。」
純がドアを開け顔を覗かせた。
「こんばんは。」
「嬉しいな。どうしたんですか? 中にどうぞ。」
「ちょっとお願いがあって。すぐに済むからここでいいわ。」
純は外に出てドアを閉じた。
「明日、楽しみですね。」
「…その事なんだけど…」
「口止めですか?」
「えぇ、そう。」
「わかってます。奈緒さんを困らせたりしません。」
「よかった。お願いします。」
「奈緒さん。」
「……」
「最後まで一緒にいてくれますよね。」
「……」
「奈緒さん。」
「用があるの。」
「それなら奈緒さんが帰る時に僕も帰ります。」
「あなたの為の集まりなのよ。」
「僕を避けてる。」
「そうよ。」
「僕…ドタキャンします。」
「えっ?」
「奈緒さん、終わったらここに帰ってきてください。僕の部屋に。」
「バカな事言わないで。明日はちゃんと来てちょうだい。いいわね。」
奈緒はそう言い残すと自分の部屋のドアを開け、バタンと閉じて鍵を掛けた。
携帯が短く震える。
『明日の晩、会えるかな?』
篠崎からだった。
「部長…」
篠崎に逢いたかった。
抱きしめて欲しかった。
『ごめんなさい。
友人達との約束があって、帰宅が遅くなりそうなんです。
本当にごめんなさい。
部長、凄く会いたかったです。』
『残念だね。
また連絡するよ。
奈緒、明日はあまり飲み過ぎないように。』
『はい。
おやすみなさい。』
深いため息が漏れる。
気掛かりは明日の食事会の事だった。いや、それよりも、その後の事だった。
純を拒否する自信がなかった。
奈緒を見つめる純の目に、心は乱れる。
篠崎に逢いたかった。
篠崎に抱いて欲しかった。
奈緒はベッドの上で膝を抱え俯いた。
……心なんかいらない
純の声が聞こえる。
……べつにいいじゃない
奈緒の心が奈緒に囁く。
……凄く感じていたじゃない
奈緒は揺れていた。
篠崎と純の間で。
自分自身の心と身体の間で。
甘い誘惑に心が疼いている事を、奈緒は何度も首を振って打ち消そうとしていた。
違う
違うの

