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終止符.
第6章 狭間(はざま)
「うわっ。」

森下が驚いて持っていた箸を置き、店の入口の方を見た。

森下の視線をたどって4人は同じ方向を向いた。

「げ、社長…」

「なんで?」

「どの人ですか?」

「しィ~ッ…」

奈緒が純を黙らせる。

「…加山専務だ……本多部長もいるわよ。」

「珍しいな。」

「あ、篠崎部長…」

「ホントだ。イッ…」

奈緒にスネを蹴られて純が悶絶した。

「純、篠崎部長知ってるの?」

「は?…い、いぇ、まったく…ウゥッ…」

「あ、社長に見つかった…」

「わー、こっち来た。」

白髪でがっちりした体格の男がゆっくりと近づいて来た。

「やあ、我が社の誇る有能社員諸君じゃないか、わっはっは。」

森下が立ち上がり、それに続いて3人が立ち、つられて純も立ち上がった。

「こんばんは。お疲れさまです。」

森下が緊張しながら挨拶をする。

「こんばんは。」

4人も後に続く。

「うむ。立たなくてもいいよ。私達は離れた所で楽しむから、君達も気兼ね無くやりたまえ。」

「はい、ありがとうございます。」

「ん?君は誰かな?」

「あ、彼は友人です。」

沙耶が言った。

「ほう、学生かな?」

「はい。」

「うむ、なかなかいい面構えだ。就職する時にはぜひ、我が社も頭に入れておいてくれよ。わっはっは。藤田だ。一応社長をやらせてもらってる。」

「ぼ、僕は谷口純と申します。よろしくお願いします。」


「うむ、覚えておこう。」

「社長、席が整ったようですよ。」

篠崎がやって来た。

「あぁ、ありがとう。篠崎君、ふたりは君の部下じゃないのかね。」

「こんばんは部長。」

沙耶が会釈する。

「こんばんは。」

奈緒もそれに続いた。
「こんばんは。楽しそうだね。」

「はじめまして谷口純です。」

「はじめまして。」

篠崎が純と言葉を交わした。

「篠崎部長、今日は何かあったんですか?」

森下の質問に藤田が答える。

「わっはっは。森下君、私が無理やり誘ったんだよ、あ、きみ…」

店員を呼び止めた。

「この席の会計はこっちに回してくれないかな。」

「承知しました。」

「あの、社長。」

「なぁにいいさ。めったに無い事だ、遠慮なくやりたまえ、篠崎君、行こう。」

「はい。それじゃ失礼するよ。」

「はい。ありがとうございました。」


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