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終止符.
第8章 転機
朝の支度を済ませて家を出ようとした時、チャイムが鳴った。

奈緒がドアを開ける。

「おはようございます。」

「おはよう。もう出発できるの?」

「はい。これ、ありがとうございました。」

「眠れた?」

「寝付きはいいのでなんとか…あはは。」

「そう、よかった。」

奈緒は純から枕とタオルケットを受け取って部屋に戻し、外に出て鍵を掛けた。

スーツケースを側に置いて、小さなリュックを背負った純が笑顔で立っている。

「荷物それだけ?」

「はい、僕の全財産。」

「素敵ね。」

「本当?」

「えぇ。」

「よしっ、出発っ。」

「行こう。」

純はスーツケースを抱えてアパートの階段を下り、奈緒も後につづく。

ゴロゴロと引かれるスーツケースと旅立つ純の背中を、後ろから見つめながら歩く。

「奈緒さん。」

「なぁに?」

「手を繋いで貰えませんか?」

「えっ?…外よ。」

「そうですけど、なにか?」

「だって変よ。」

「何がですか?」

「どう見たって学生のあなたと、若くもない私よ。」

「僕はなんともない。」

犬を散歩させている主婦とすれ違う。

「……」

「僕は、初めては何でも奈緒さんがいいんです。」

「……よく、そんな事を堂々と言えるわね。」

「堂々と言える事が出来て嬉しいです。」

「……」

「はい。」

純が立ち止まって奈緒に手を伸ばした。

「いやよ。繋がないわ。」

自転車に乗った年配の男性が振り向きながら通り過ぎる。

「まったく頑固な人ですね。」

「……」

「あ、ここの公園好きだったなぁ。」

「……」

「ここで膝枕もしてもらった。」

「……」

何も言葉が出てこない。

ゴロゴロとスーツケースを引きながら、時々振り向いて奈緒を見つめる純。

「朝帰りの奈緒さんと会ったコンビニ。」

「……」

駅に近づいて来た。

奈緒が口を開く。

「純…手を繋ぐわ。」

「ぷっ…あははは。」

「なによ。」

「いいんですか?こんなに人がいるのに。」

「いいの。」

「へぇー、じゃあ、はい。」

差し出された純の手を握り並んで歩く。

大きな手の中で奈緒が力を抜くと、純がぐっと力を入れて奈緒を見つめた。

「奈緒さんゲット。あはは。」

「ふふっ。」



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