この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
終止符.
第8章 転機

「いってらっしゃい、って言ってくれる家族がいないから、奈緒さんに送ってほしかったんです。」
「えぇ。」
奈緒が頷く。
「今度僕に出会う時は、おかえりって言ってほしいな。」
「いつになるかしらね。」
「……その時は…」
「その時は私に子供がいたりして。」
「意地悪だなぁ。」
「駅よ。」
「もう着いちゃった。」
スーツケースを側に置いて、切符を買う純を見つめる。
周りより頭一つ背の高い純が、切符を手に奈緒の方に歩いて来る。
「……」
「行くのね。」
「はい。」
「がんばって。」
「はい。あ、家の鍵…」
「あ、そうだったわ。」
純がポケットから出した鍵を受け取る。
「隣に奈緒さんがいたから僕は寂しくなかったんです。」
「私はあなたをちっとも知らなかったわ。」
「僕はずっと片思い。」
「すぐに素敵な人が見つかるわ」
「……」
「純、いってらっしゃい。」
「奈緒さん。」
純は優しく奈緒を抱きしめた。
純の匂いがする。
「奈緒さんと過ごした夜の事、一生忘れません。僕が生まれ変わった日です。」
「素敵な思い出はこれからも増え続けるわ。」
「…はい。」
純の腕に力が入る。
駅のざわめきが聞こえる。
「純、私、今凄く恥ずかしいんだけど。」
「僕も。」
「ふふっ。」
「奈緒さん、大好きです。」
純は奈緒の額に軽くキスをして改札に向かった。
「純、身体に気をつけてね!」
純は背を向けたままで手を挙げる。
「純、いってらっしゃい!…いってらっしゃい!」
改札を抜けた純は少しうつ向き、振り向かずに何度も大きく手を振った。
奈緒は純が見えなくなるまで後ろ姿に手を振り続けた。
頬が濡れていた。
純と過ごしたあの夜に悔いはなかった。
純の幸せを誰よりも願っていた。
「いってらっしゃい…がんばれ…」
奈緒は純から預かった鍵を握りしめながら駅をあとにした。
純と来た道を一人で歩く。
コンビニ、公園、坂道…。
「私も寂しい。」
アパートの階段を上り純の部屋の前を通る。
「ちゃんと鍵を掛けたのかしら?」
ドアノブを回すと、ドアが開いた。
「取られる物もないからいっか…」
ガランとした部屋の中は薄暗く、さっきまで純が居たことが嘘のようだ。
奈緒は靴を脱いで中に入った。
「えぇ。」
奈緒が頷く。
「今度僕に出会う時は、おかえりって言ってほしいな。」
「いつになるかしらね。」
「……その時は…」
「その時は私に子供がいたりして。」
「意地悪だなぁ。」
「駅よ。」
「もう着いちゃった。」
スーツケースを側に置いて、切符を買う純を見つめる。
周りより頭一つ背の高い純が、切符を手に奈緒の方に歩いて来る。
「……」
「行くのね。」
「はい。」
「がんばって。」
「はい。あ、家の鍵…」
「あ、そうだったわ。」
純がポケットから出した鍵を受け取る。
「隣に奈緒さんがいたから僕は寂しくなかったんです。」
「私はあなたをちっとも知らなかったわ。」
「僕はずっと片思い。」
「すぐに素敵な人が見つかるわ」
「……」
「純、いってらっしゃい。」
「奈緒さん。」
純は優しく奈緒を抱きしめた。
純の匂いがする。
「奈緒さんと過ごした夜の事、一生忘れません。僕が生まれ変わった日です。」
「素敵な思い出はこれからも増え続けるわ。」
「…はい。」
純の腕に力が入る。
駅のざわめきが聞こえる。
「純、私、今凄く恥ずかしいんだけど。」
「僕も。」
「ふふっ。」
「奈緒さん、大好きです。」
純は奈緒の額に軽くキスをして改札に向かった。
「純、身体に気をつけてね!」
純は背を向けたままで手を挙げる。
「純、いってらっしゃい!…いってらっしゃい!」
改札を抜けた純は少しうつ向き、振り向かずに何度も大きく手を振った。
奈緒は純が見えなくなるまで後ろ姿に手を振り続けた。
頬が濡れていた。
純と過ごしたあの夜に悔いはなかった。
純の幸せを誰よりも願っていた。
「いってらっしゃい…がんばれ…」
奈緒は純から預かった鍵を握りしめながら駅をあとにした。
純と来た道を一人で歩く。
コンビニ、公園、坂道…。
「私も寂しい。」
アパートの階段を上り純の部屋の前を通る。
「ちゃんと鍵を掛けたのかしら?」
ドアノブを回すと、ドアが開いた。
「取られる物もないからいっか…」
ガランとした部屋の中は薄暗く、さっきまで純が居たことが嘘のようだ。
奈緒は靴を脱いで中に入った。

