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終止符.
第9章 隠せない心
「ッ…」
奈緒のその手を篠崎が握りしめた。
「奈緒。」
「…離してください。」
崩れ落ちそうだ。
「どうして逃げるんだ。」
「離して、手を離して…」
奈緒は震えだした。
胸が苦しい。
身体に力が入らない。
「……」
後ろから抱きすくめられる。
「奈緒、こっちを向いて。」
何度も首を振る。
張り詰めていた糸が切れそうになる。
「奈緒、私を見るんだ。」
「ハァハァ…やめて…どうして…どうして…」
涙が零れ落ちる。
「どうして…ここに……」
篠崎に肩を掴まれて振り向かされる。
「……」
顔を見ることが出来ない。
触らないで
触らないで
「帰ってください。」
糸が切れる前に…
「いやだと言ったら?」
「………」
「寂しかったと言ったら?」
奈緒は篠崎を見た。
「どうして…どうしてそんな事を言うんです!」
奈緒は泣きながらこぶしで何度も篠崎の胸を叩いた。
「どうして…どうして放っておいてくれないの…うぅッ…」
奈緒は篠崎の腕の中に崩れ落ちた。
愛しい人に抱きしめられる辛さと、頼ってしまいたくなる切なさが涙になって溢れ出る。
篠崎はずっと奈緒の髪を撫で、「ごめん。」と言い続けた。
落ち着いてきた奈緒は篠崎を部屋に通した。
「奈緒、君の退職の日が11月20日になりそうだけどいいのかな。」
「はい。」
「…君の生活をめちゃめちゃにしてしまってすまない。」
「私が望んで始めた事です。」
「罪は同じだ。」
「……」
「君だけが泥をかぶってる。」
「…大した事ありません。」
「座ってもいいかな。」
「どうぞ、今お茶を…」
「何もいらないよ…これは、君が作ったの?」
篠崎が純のジグソーパズルに気がついた。
「いいえ、友達に貰ったんです。」
「部屋が明るくなったね。」
「えぇ、それを作った友達も明るい人なんです。」
奈緒が微笑んだ。
「奈緒。」
「えっ?」
「笑ってる方がいい。」
「……」
「私は君の笑顔を奪ってきたような気がするよ。」
「部長…」
「私の前でそんな風に笑った事があったかな?」
「……」
「すまなかった。」
「私、部長をとても愛してました、今も…」
「奈緒。」
「今も…本当は抱いて欲しい…でも…」
篠崎が奈緒の唇を奪った。
奈緒のその手を篠崎が握りしめた。
「奈緒。」
「…離してください。」
崩れ落ちそうだ。
「どうして逃げるんだ。」
「離して、手を離して…」
奈緒は震えだした。
胸が苦しい。
身体に力が入らない。
「……」
後ろから抱きすくめられる。
「奈緒、こっちを向いて。」
何度も首を振る。
張り詰めていた糸が切れそうになる。
「奈緒、私を見るんだ。」
「ハァハァ…やめて…どうして…どうして…」
涙が零れ落ちる。
「どうして…ここに……」
篠崎に肩を掴まれて振り向かされる。
「……」
顔を見ることが出来ない。
触らないで
触らないで
「帰ってください。」
糸が切れる前に…
「いやだと言ったら?」
「………」
「寂しかったと言ったら?」
奈緒は篠崎を見た。
「どうして…どうしてそんな事を言うんです!」
奈緒は泣きながらこぶしで何度も篠崎の胸を叩いた。
「どうして…どうして放っておいてくれないの…うぅッ…」
奈緒は篠崎の腕の中に崩れ落ちた。
愛しい人に抱きしめられる辛さと、頼ってしまいたくなる切なさが涙になって溢れ出る。
篠崎はずっと奈緒の髪を撫で、「ごめん。」と言い続けた。
落ち着いてきた奈緒は篠崎を部屋に通した。
「奈緒、君の退職の日が11月20日になりそうだけどいいのかな。」
「はい。」
「…君の生活をめちゃめちゃにしてしまってすまない。」
「私が望んで始めた事です。」
「罪は同じだ。」
「……」
「君だけが泥をかぶってる。」
「…大した事ありません。」
「座ってもいいかな。」
「どうぞ、今お茶を…」
「何もいらないよ…これは、君が作ったの?」
篠崎が純のジグソーパズルに気がついた。
「いいえ、友達に貰ったんです。」
「部屋が明るくなったね。」
「えぇ、それを作った友達も明るい人なんです。」
奈緒が微笑んだ。
「奈緒。」
「えっ?」
「笑ってる方がいい。」
「……」
「私は君の笑顔を奪ってきたような気がするよ。」
「部長…」
「私の前でそんな風に笑った事があったかな?」
「……」
「すまなかった。」
「私、部長をとても愛してました、今も…」
「奈緒。」
「今も…本当は抱いて欲しい…でも…」
篠崎が奈緒の唇を奪った。