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終止符.
第10章 寂寥(せきりょう)
仕事を終えた帰り道、沙耶が話しかける。

「最近部長忙しそうだよね。」

「そうだね。バタバタしてるね。」

「今日部長に呼ばれてちょっと話をしたんだけど…」

「うん。」

奈緒は興味がなさそうな顔で相づちを打った。

「奈緒の仕事が見つかったか心配してた。」

「そう。」

「ゆっくりと探すらしいですよ、って言っといた。」

「ありがと。」

「それからさ…」

「うん。」

「純の事も聞かれたんだよ。」

「えっ?」

奈緒は驚いて沙耶の顔を見た。

「なんでかな?」

「何を聞かれたの?」

「大した事じゃないの、名前と年齢と…」

「うちに就職させたいとか?」

「さあ…でね、住所は知りませんけど彼は今留学中なので日本にはいませんって教えてあげた。」

「それで?」

「ありがとうって、それだけ。」

「なにかしら?」

「さあ…もしかしたら奈緒も何か聞かれるかも知れないよ。」

「私より沙耶の方が親しいでしょう?」

「んー、そう思ってたけど。純は奈緒になついてるように見えたよ。」

「そうかな。」

「奈緒。」

足を止めて沙耶が奈緒を見つめる。

「えっ?」

「純と何かあった?」

「なにも。…どうして?」

不安が心をよぎる。

「前にみんなで居酒屋に行った時、なんか様子が変だった。」

「そうだっけ。」

「あの後純に送ってもらったけど大丈夫だった?」

「あはっ、大丈夫だよ。」

奈緒は篠崎に会いに行った事を思い出していた。

そういえばあの時も純の事を気にかけていたような気がする。

「そっか…。」

「……」

「純を頭っから否定しないで。」

「沙耶…」

「なんかさ、力になってあげたくなるんだよね。若いのに、なんか、どこか寂しそうで。」

「うそ…」

「奈緒にはわかんないか。」

「いつも元気で明るいから。」

沙耶には見えるのだろうか。純の抱えているものが。

「奈緒といると幸せなんだよきっと。」

「……」

二人は歩き出した。

「幸せって何だろう?」

奈緒が呟いた。

「奈緒は幸せじゃないの?」

「……そうでもない。」

「そうだよね。…そう見えないもん。」

立ち止まった沙耶を奈緒は振り返って見た。

「えっ。」

「奈緒の意地っ張り。なんか辛い事があるんでしょ。」

沙耶が責めるような目で奈緒に言った。


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