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第4章 前へ

仕事を終えて、いつもの居酒屋へ行くとまだ誰も来ていなかった。
予約席に通されて席に着くと店内はまだ、人も疎らで静かだ。
私は読みかけの小説を開いて皆んなが来るまでの時間を潰す事にした。

「 香音さんは文学少女なんですね。」
不意に頭上で声が聞こえた。
小説に夢中になり過ぎて声を掛けられるまで気付かなかったが、顔を上げると神崎さんが立っていた。
「 あ、いえ…そんな文学少女だなんて…。」
私は慌てて本を閉じた。

「 あの…香音さん。
今週末はお忙しいですか？」
相変わらず控えめに神崎さんに質問される。
「 いえ…特には…。」
私がそう答えると神崎さんはポケットから何かのチケットを取り出し私に見せた。
「 映画の試写会なんですけど…もし、嫌で無かったらご一緒してもらえませんか？」
2人っきりかぁ…。嫌じゃ無いけど気乗りもしない。
でも、断るのも気まずい。
散々自己葛藤した結果、結局 私は承諾した。
その後、みんなが徐々に集まりいつもの飲み会が始まった。