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Dollと云う名の奴隷
第28章 決別
「 分かりました…。なら一つだけ約束してくれますか?香音さんから神崎には距離を置いてもらう。だからその記録は公にしないと。」
「 お約束します。私のお願いはそれ以外にはないので。」
「 香音さん、ひとつお聞きしていいかな?」
「どうぞ。」
「 神崎と浴槽でもみ合ったあの日、何故あなたは抵抗しなかったのですか?これは僕のただの興味と言うか疑問です。」
「 …。どうしてかな…。あのまま終わるならそれはそれなのかもって思った気がします。あの時、神崎さんはすごく怒ってるんだろうなって思って水面に揺れる景色のなかで彼の顔をみたら悲しそうで泣いているようにも見えました。私の気持ちはあげれないけど、これで神崎さんの気がすむのならって思ったんです。何故そう思ったのかは分からないけど精神的に私も追い詰められていたから。」
「 そうですか…。神崎の言う通りあなたは不思議な人ですね。」
「 神崎さんがそんな事を言ってましたか…。私自身では至って普通だと思ってるですけど。」
「でしょうね。 香音さん、どうぞ幸せになってくださいね。」
「 ありがとうございます。島崎先生、お世話なりました。」

電話を切って私は電車に乗った。
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