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Dollと云う名の奴隷
第28章 決別
「 もしもし。」
「 香音さん?島崎です。」
島崎先生の声はかなり慌てている感じだった。
「 はい。」
「 あの…郵便を受け取ったんだけど。」
「 すみません。島崎先生にしかお願いできなくて。」
「 お願いって…。」
島崎先生に連絡を取りたかったけど分かるのは病院の電話番号。
小さなクリニックとは違うので島崎先生に直接繋いでもらえる保証はなく行き違いで神崎さんのところに連絡が入るのもこわかった。
なので私は島崎先生の病院に録音のコピーを郵送した。
私の携帯番号は入院した時に用紙に記載したので調べれば分かるはず。
連絡くれるかどうかは島崎先生次第だった。
「 中身を確認する為に聞いたんだけど。あの録音の記録はコピーだよね。」
「はい。ご迷惑な事は重々承知なんですけど島崎先生にしかお願いできなくて。」
電話の向こうの島崎先生の息遣いが荒いのが聞こえる。
「 香音さんの目的は?僕に何を求めるの?」
「私、ごしゅ…神崎さんの元を離れます。神崎さんを私から引き離して下さい。」
「 神崎を止めろって事?」
「 はい…。」
「 もし、断ったら録音記録を公にするの?」
「 …?え?公って?」
島崎先生の質問の意味が理解できない。
「 え?違うの?」
質問に島崎先生は質問で返してきた。
「 えっと…。島崎先生にしかお願い出来る方が居なくて…。神崎さんも信頼している島崎先生の言葉なら聞いてくれると思ったのですが…。」
きっと神崎さんと話し合ったところで何らかの形で捕らえられてしまう。
でも、島崎先生を介せば展開は変えられるんじゃないかと思った。

確証はない。
賭だった。
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