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第1章 再会

「 好きな人、居るの？」
私が黙ったままで居ると彼がそう問いかけてきた。
私が何も答えずにいると彼は続けた。
「 キミは自覚が無いかも知れないが、キミの育った環境は劣悪でいわゆる機能不全家族なんだよ。キミの育った環境を理解できる人間でないとキミは他者との感覚のギャップに苦しみ恋愛も上手くいかないんだよ。
だから、いい子だから…。
ね…。おいで。」
そう言うと彼は私の顔を覗き込み、まるで自分のみが理解者のような説得をする。
「 私に必要なのはあなたではないです。私は私の意思で好きだと思える人の傍にいます。」
私は彼の手を振り解き車に乗り込み駐車場を後にした。

バックミラーに映る彼はとても小さく見えて悪魔の片鱗を微塵も感じられなくなっていた。