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愛のシンフォニー
第4章 それぞれの愛
少しは自分の演奏も人気が出てきたと実感して徳造は席に着いた。
今日の演奏会のギャラはもらえるが微々たるものだ。本当はこのまま帰りたいところだが、呼んでくれた店の手前そうもいかない。次の仕事に繋げることも考えなければ・・。
でも美樹とのデートのためにもギャラは少しでも残しておきたいところだ。
徳造が一番安いビールを注文しようとするとマスターが高級なワインを持ってきた。
「こ、こんな高いお酒は飲めません、すみません」
となるべくマスターの機嫌を損ねないように丁重に断ろうとすると「あちらのお客様からです」と返ってきた。
徳造がマスターが手振りで示した方を見ると見覚えのある貴婦人がとびきりの笑顔で手を振っていた。
先日の女社長である。
「失礼します」
徳造は女社長の手招きにしたがって隣の席へ移動した。ワインはマスターが運んでくれた。
「今日も素晴らしい演奏だったわ。乾杯しましょう」
マスターがワインを開けてくれる。コルクを抜く時の小気味いい音とその直後にワインの香しい匂いがしてくるのは何ともいえずにいい感じである。
女社長は徳造のグラスにワインを注いでくれる。
「あ、ありがとうございます。いただきます」
徳造はグラスを置いて女社長からワインを受け取ると今度は女社長のグラスにワインを注いであげる。
「そんなかしこまった挨拶なんていいのよ。あなたの音楽にはそれなりのご褒美を貰える資格があるんだから。あなたの音楽とふたりの出会いに乾杯」
「乾杯」
徳造と女社長はグラスを重ねてワインを口に含む。
「ねえ、グラスを重ねるのって何だか唇を重ねることを連想させない?」
「そういえば、ワインって甘いような苦いような酸っぱいような、キスを連想させる味わいがしますよね」
と徳造は女社長に合わせて少し詩的に返したのだが、これがいけなかった。
「流石は音楽家ね。詩的な美しい表現ね。それでいて可愛らしさもある。こんな素敵な表現でキスをおねだりされたらイヤとは言えないわね」
と女社長は唇を近づけてきた。
「女に恥をかかせないで」と言われて仕方なく目をつぶって女社長と唇をかわす。ワインの味がするキスだった。
「このワインの赤って二人の恋みたいに熱い色だと思わない?ウフフ、今度はわたしが詩的な表現をしちゃったわね」
女社長は徳造に身を預けてきて甘えるようにする
今日の演奏会のギャラはもらえるが微々たるものだ。本当はこのまま帰りたいところだが、呼んでくれた店の手前そうもいかない。次の仕事に繋げることも考えなければ・・。
でも美樹とのデートのためにもギャラは少しでも残しておきたいところだ。
徳造が一番安いビールを注文しようとするとマスターが高級なワインを持ってきた。
「こ、こんな高いお酒は飲めません、すみません」
となるべくマスターの機嫌を損ねないように丁重に断ろうとすると「あちらのお客様からです」と返ってきた。
徳造がマスターが手振りで示した方を見ると見覚えのある貴婦人がとびきりの笑顔で手を振っていた。
先日の女社長である。
「失礼します」
徳造は女社長の手招きにしたがって隣の席へ移動した。ワインはマスターが運んでくれた。
「今日も素晴らしい演奏だったわ。乾杯しましょう」
マスターがワインを開けてくれる。コルクを抜く時の小気味いい音とその直後にワインの香しい匂いがしてくるのは何ともいえずにいい感じである。
女社長は徳造のグラスにワインを注いでくれる。
「あ、ありがとうございます。いただきます」
徳造はグラスを置いて女社長からワインを受け取ると今度は女社長のグラスにワインを注いであげる。
「そんなかしこまった挨拶なんていいのよ。あなたの音楽にはそれなりのご褒美を貰える資格があるんだから。あなたの音楽とふたりの出会いに乾杯」
「乾杯」
徳造と女社長はグラスを重ねてワインを口に含む。
「ねえ、グラスを重ねるのって何だか唇を重ねることを連想させない?」
「そういえば、ワインって甘いような苦いような酸っぱいような、キスを連想させる味わいがしますよね」
と徳造は女社長に合わせて少し詩的に返したのだが、これがいけなかった。
「流石は音楽家ね。詩的な美しい表現ね。それでいて可愛らしさもある。こんな素敵な表現でキスをおねだりされたらイヤとは言えないわね」
と女社長は唇を近づけてきた。
「女に恥をかかせないで」と言われて仕方なく目をつぶって女社長と唇をかわす。ワインの味がするキスだった。
「このワインの赤って二人の恋みたいに熱い色だと思わない?ウフフ、今度はわたしが詩的な表現をしちゃったわね」
女社長は徳造に身を預けてきて甘えるようにする