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幸せの欠片
第5章 スポーツジム
「行くぞ」

「はい」


 夫の悟が駐車場ではなく、エントランスの方に向かって歩いて行くのを見て、電車で出掛けるのだと分かった。

 麻衣は、車で連れて行ってもらえると安心していたが、当てが外れた。

 電車は痴漢を思い出すので、しばらく遠ざけたかったのだが、そうだと言えるはずもない。

 今日は夫が一緒にいるから大丈夫だと自分を励ましながら、駅に向かう夫の背中について行った。

 

  休日の電車は、時間帯にもよるのだろうが、ウィークディほど混んではいない。

 隣の駅までは5分程で到着するので、席はまばらに空いているが、夫が扉の近くに立ったので、麻衣も従った。

 夫は、片手で吊り革を持つと、もう一方の手をポケットに入れた。

 
 ビィーン・・・・・・。

 
 突然、麻衣の体の中に仕込まれたバイブが動き出した。


「うっ・・・・・・、やめ・・・・・・」


 こんなところで、と思うが、先日、男のモノで貫かれたのも電車の中だった。

 知らないとはいえ、夫は残酷なことを仕掛けてくると思う。

 体にバイブが入っていることなんて、バレたら恥ずかしくて生きて行けないと思い、周りに気付かれないように息をのむ。

 音が漏れないかと思うと、それも心配だった。


 夫は、そ知らぬ表情を装ってはいるが、麻衣を見ている。

 必死に耐えているのに、夫が動きを強めるスイッチを押したらしく、奥の方までうねるように振動が伝わって来た。


「お願いっ・・・・・・」


 夫は何も答えずに、じっと見ている。

 言っても無駄なのだ。
 
 ― 何とかあと数分を耐えなければ・・・・・・。

 吊り革につかまり、ぎゅっと握ると目を閉じた。

 力を入れていると、汗がにじみ出てきた。


「はぁっ・・・・・・んっ・・・・・・」

 
 乳首の先が固くなり、ツーンと痛いほど尖って来た。

 皮紐で三角形を作った枠でしかないブラジャーでは、きっとワンピースの上からも乳首がくっきりと見えるに違いない。

 夫は、楽しそうに麻衣を見ていた。

 吊り革につかまる腕に力を入れる。

 バイブの振動がクリトリスにまで伝わるが、ここで達してしまえば足が崩れ落ちると思い秘所にもギュッと力を入れる。

 力を入れると余計に感じるようで緩めるのだが、緩めると緊張も緩んでしまい、何れも楽ではなかった。
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