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毒蜜喰らわば
第12章 イタコの孫が見通した、愛・・
「やっぱり・・やっぱり私の後ろに誰かがいたんですね。
 里佳子のお家で初めてお会いした時、堀内さんの視線の動きが気になったの。
 私を通り越しているような視線・・あの時から見えていたんですか?」

雅斗の瞳は見抜いていたんだ。
私と重なる遊女の姿を。

「そう、見えてた・・でもどこで、なぜ憑かれたのかわからなかったから
 何も言わなかったんだ」

雅斗は祠に視線を落とす。
やっと見つけてあげられた、と小さくつぶやく雅斗の声は、
風に吹かれて消えていった。


しばらく、風の音だけを聞いていた私達だが、雅斗が歩き出したのでその後に続いた。
社務所が近づくとにぎやかな声に引き寄せられるようにして、本殿に近づいた。

夕暮がせまってきたせいか、参拝客の数も先ほどよりも減っている。
あの日、咲枝とお参りした時の明るい陽射しとは真逆の薄墨色の空。
深まる秋を見せつけているようだった。
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