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毒蜜喰らわば
第12章 イタコの孫が見通した、愛・・
そして本殿の横にしっかりと根付く御神木、愛の木。
あの木の温もりと共に感じた手の感触。
その手は私に想いを託した遊女のものだったのかもしれない。
叶わなかった恋を、私に託して手を重ねたんだ、きっと。

愛の木を見つめる私の体が、引き寄せられるようにして動き出すと、
雅斗が手を掴んで制止した。

「そろそろここを離れよう。次は蛍庭園に行きましょう」

誰もが黙ったまま、鳥居にむかって歩を進める。
そして鳥居をくぐってから本殿にむかって一礼した雅斗が私に言い含める。

「あなたがここで受けたお守りは、さっきの祠の前にあった賽銭箱に納めてください。
 その時に可哀そうとか、そういった感情は持たないでくださいね。
 ただただ心を無にして、いいですね?」

「わかりました・・」

私も本殿の方向に向かって一礼した。
どうしてこんなことになったのか。
停滞していた恋の中でもがいている私を、
愛に散った遊女がこの神社で見つけてしまったことから
すべてが始まってしまったのかもしれない・・・




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