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第7章 卒業生の彼女　坂上依那

　専門学校のロビーにかかる時計の針は夜の９時になろうとしていた。

「先生ありがとうございました！」傘を広げながら数人の男女元気な声をロビーに響かせながら出て行った。

「気をつけてな」彼は笑顔で生徒達の背中に声をかけ、彼は正面入り口を施錠した。

　“すごい雨だな”

　ロビーの窓は雨が流れ落ちている。

　梅雨に入ってから自家用車通勤とはいえ、こんなに降ると車にのるまでが億劫になってくる。
　傘を開け閉じしても、車に走り込んでもやっぱり背広が濡れるのだ。

　“どうせこんな時間だし”

　彼は雨足が落ち着いてから帰ろうと決め、明日の準備に取りかかることした。