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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第28章 BLUE BIRD
『話・・・ですか』



『・・・』



ヤツはどことなく声を震わせ
お父さんに向かい合っているようだった




『まりあは・・・何の話を…』







酷い慌てようだな……らしくもない



俺は…独特の緊張も去ることながら

ヤツが恐れている展開になれば良い、と



このまま全て…暴かれてしまえば良いと

望みながら話を聞いていた







『は?・・・どうした和樹くん』




『え……』




『なんの話・・・と言うのは』





『いえ……その』





『私達は・・・まりあから
ケガをして動けないから

和樹くんやお母さんに
迷惑をかけられないから

手を貸してほしい、と
連絡を受けただけだよ』




『・・・』






俺は…少し落胆した


でも……まぁ、そうだよな





マリアは、一人の時間に看護師に頼んで
実家に電話させてもらったらしかった





『不運な……事故だったそうだね』





『僕が付いていながら…申し訳ありません』






ヤツはしおらしく
息を吹き返しやがった…






『しかし・・・参ったね

一生、歩けないかもしれないとは、ね』




マリアのお父さんは悲しみを堪えるように
ため息をつきながら冷静に言葉を話す




『っ・・・うぅ……まりあ

・・・っ、マリちゃん・・・』



入室してから、黙って堪えていた
マリアのお母さんも

ベットに横たわって
熱にうなされて話も出来ない
意識もハッキリしないマリアに

…頭に包帯を巻いた
痛々しい姿のマリアに

ついに泣き崩れて
その横に寄り添っていた




俺は…この時点で相当

心臓を鷲掴みされたみたいに

胸が…心が苦しくて

その場から逃げ出しそうになったんだ
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