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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第28章 BLUE BIRD
『おっと・・・、失礼』
『・・・』
マリアのお父さんは
大きな二人分のキャリーケースを引いて
俺の前を過ぎようとするが
『・・・?』
不自然に病室の前で立っていた
怪しすぎる男に
警戒心を示さない訳はなく
『娘の・・・病室に、何か?』
『・・・っ』
『お知り合いですか?』
『いえ・・・すみません』
黙って…立ち去れば良かった
不自然に足を進めるも、止まるも
どっちつかず・・・ままならず
『・・・』
『っ・・・』
目を反らしても
マリアのお父さんの視線は
痛いくらいに
俺に突き刺さっていた
『すみません・・・…っ』
俺は逃げるように向きを変えて
その視線を振り切るように立ち去る
『ちょっと・・・』
『・・・っ……!?』
廊下を曲がろうとした所で
・・・呼び止められた
ガラガラガラ…
俺の背に
キャリーケースを引く音が
刺さるように響く
背を向けて立ち止まったままの俺に…
『君は… ・・・もしや』
『・・・』
『君が・・・ ・・・ 娘の・・・』
『・・・、・・・っ』
そのまま走り去る事は
出来なかった・・・
『・・・』
マリアのお父さんは
大きな二人分のキャリーケースを引いて
俺の前を過ぎようとするが
『・・・?』
不自然に病室の前で立っていた
怪しすぎる男に
警戒心を示さない訳はなく
『娘の・・・病室に、何か?』
『・・・っ』
『お知り合いですか?』
『いえ・・・すみません』
黙って…立ち去れば良かった
不自然に足を進めるも、止まるも
どっちつかず・・・ままならず
『・・・』
『っ・・・』
目を反らしても
マリアのお父さんの視線は
痛いくらいに
俺に突き刺さっていた
『すみません・・・…っ』
俺は逃げるように向きを変えて
その視線を振り切るように立ち去る
『ちょっと・・・』
『・・・っ……!?』
廊下を曲がろうとした所で
・・・呼び止められた
ガラガラガラ…
俺の背に
キャリーケースを引く音が
刺さるように響く
背を向けて立ち止まったままの俺に…
『君は… ・・・もしや』
『・・・』
『君が・・・ ・・・ 娘の・・・』
『・・・、・・・っ』
そのまま走り去る事は
出来なかった・・・