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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第28章 BLUE BIRD
『フゥ・・・』



約束のその日

俺は病院の前で深呼吸した





身構える……果たして
それが正しいのだろうか

いつも通りにいよう
そう努めていた


もしくは


相応の……〃覚悟〃だとか

そんな…俺たちにとっての
迫りくる〃瞬間(とき)〃なんだ、と

〃自覚〃がもてなかっただけなのか



どちらなのかは・・・わからない







『おはよ』





マリアの顔を見れば自然と

言わば…〃いつも通り〃の俺がいた





『おはよう、ゆぅちゃん♪』





それは…どこか

マリアも同じな気がして





マリアの両親も不在

俺はマリアを車椅子に乗せて
早速、散歩に出た






『ゆぅちゃん・・・あのね』





だけど、車椅子に乗って

俺に背を向けたマリアは

早速・・・と言うように、話し出した




いいんだ・・・わかっている事だから




早い方が・・・いい












『退院の日が・・・決まったの』








〃・・・〃







『うん・・・。・・・良かった』








それに・・・違いはない


だけど、それはつまり









『それでね、私・・・』






『うん・・・』








『ひとまずは…実家に

身を寄せることになったの』








『・・・うん』










盗み聞きしてたから…知っている



でなくとも

この状況を見れば、わかること





だけど、そうは言えず、言わず

俺はマリアの話を最後まで聞いた






『親…家族にも…結局、最悪な形で
迷惑かけちゃったし

ゆぅちゃんには・・・本当に
最後まで心配かけて』







『そんな事・・・言うなよ』







『〃予定〃と……大分違うけど

そうするつもりだった…事だから

一安心・・・してる』






『・・・』







『みんなに迷惑かけて
心配…かけて

私だけ…〃安心〃なんて
無神経も良いところだけど

ゆぅちゃん・・・本当に
この先は

自分の事を考えて・・・』





『マリア・・・』






『話は・・・それだけだから』
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