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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第29章 果たされぬ・・・約束
目的もなく観光地を歩いていた俺に
エリカから電話が入ったのは

タクシーを降りて
しばらくした頃だった





『もしもし、エリカ・・・?』




心臓が鷲掴みされるような緊張感がはしる





『ユウト・・・~~』







〃まさか・・・〃












『〃おかえり〃・・・って』





『えっ・・・』






『パパとママが…エリカに
おかえり、って・・・うっ』









『エリカ・・・、ふふっ

だから・・・心配ないって言ったろ?』







家族と再会して…わんわん泣きじゃくって

ようやく少し落ち着いて

俺に電話してきた・・・そんな雰囲気







『ふふ…良かったな、エリカ(笑)』




良かった・・・本当に



俺はやっと、心の底から
胸を撫で下ろした






『それじゃあなエリカ?

もう、両親に…あんま心配かけんじゃ…』






『ま…ままっ、待ってユウト!

まだ切らないでっ…』







『???』








『もう少しだけ…話したい』






『・・・。ふふふ・・・~うん?』







『あのね・・・エリカ・・・うんとね』





『ふふっ…~エリカ?
落ち着けよ(笑)

エリカの話が終わるまで
電話切ったりしねぇから

ゆっくり…話したいだけ
話していいから』






『エリカ・・・ね
うんと…勉強はキライだけど

もう一度、学校行って
勉強も…してみる』




『うん…エリカは
幼稚園の先生になるんだろ?

あ…政治家にもなるんだったな?(笑)
ふふっ…エリカはこれから忙しいな?』





『えへへ・・・~うん…でもね
なんでも、いいんだけど

あ、でも…ほんとは
幼稚園の先生かな…~えっと』





『(笑)』






『でもね、エリカ・・・大人になったら

〃弱い者の味方〃でいられる

そういう大人になりたいと思う』







『エリカ・・・』







『なんの仕事でもいいけど

弱い者いじめとか・・・なくなるように

エリカは弱い者の味方でいたい』






『・・・』








『ユウトみたいに・・・』









予測不可能なエリカの話に

なぜか俺の目頭は

どんどん熱くなっていく
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