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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第30章 翼を・・・ひろげて
「いかがですかお客様?」



『はい…まぁ、悪くはないかと』



ここなら使い勝手も知ってるしな?(笑)




『あ、でも先に内覧してた方も
気に入ってたとか?』





「ぁ…あ~…さようですが、まぁ
審査の通るか否かもありますからね」





『・・・(笑)』


そこ急に焦るのかよ(笑)
わかりやす





「あ~…午前にご案内したお客様は

じっくり時間をかけて
ご覧になったようでしたけど

なにかとこだわりもあるようで…
保留されて他を回られました」





『あぁ・・・なるほど、確かに…

~~ん、まぁ・・・それじゃ』






「こちらの物件は
本当にオススメですよ~…

!?・・・~…すみません
少し、失礼します」





不動産屋が急な電話で
少しはなれた



大変だよな・・・こういう仕事も


なんて


俺は他人事も良いところな態度で

室内を見渡す




「は?…今ですか!?
~~そう言われてもねぇ

困りますよ、ご案内中ですから
はい…はい、わかりました

確認はしますが、あまりお約束は…
~~はい、はい

詳細わかれば追って知らせて下さい
はい、はい…~お疲れ様です」






『・・・』


〃懐かしい・・・懐かしいな、なんか〃





アクシデントか何かの不動産屋をよそに

俺は、そこにある

懐かしい空気を吸っていた






ピッ…


「ぁ…すみません、失礼致しました」






『いえ、…大変ですね
トラブルですか?』





「そういう訳では…~ただ
午前に内覧した方が

忘れ物をしたかもしれないと
問い合わせがあったらしくてですね

見た物件、再度探してまわって
こちらに向かってるそうなんです」




『ぁ…だったら自分は
もう大丈夫っすよ

中も見たんで…
なんなら他の物件でも構わないですし』






「いややや、っそんな…お客様が
お気遣いなさらないでください!

~まったく…困ったもんですよぉ
何だかわからないですけど
大事なものだから探させてくれって

大事なものならなくすなって
話ですよねぇ!?人騒がせな…」







『ははは・・・』





適当に相づち打ちながら

どこか落ち着く…心地良い空気を

何の気なしに吸っていた
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