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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第30章 翼を・・・ひろげて
コツ・・・カラーン・・・っ




振り向いて出口に向かう不動産の足に
なにかがぶつかって
床に音が響く




「ぁ…すみません、お客様?

落とされました?」





『ぁ・・・』




不動産屋が拾い上げたのは

俺のネックレス・・・兼、指輪






『すみません・・・どうも』





チェーンが外れて

床に転げたそれを受け取り

首にかけようとする








『・・・?』




〃あれ・・・?〃





俺は咄嗟に目をこすった




フックが千切れて外れたチェーン…




まぁ・・・物には寿命があるからな








とか…それはそうなんだけどさ






『・・・。・・・?』




〃なんか・・・俺〃





ゴシゴシ・・・


目をこすって、それに目を向ける





ブログに張りついてパソコン触りすぎ?

目ェ…疲れてんのかな俺?






手にしてるチェーンや

通してある指輪が

なんか…

やたらちっこく見えてさ




『・・・クス』




つけっぱなしで触らないから

もう感覚がわかんねぇのかな(笑)





とか思って

千切れたネックレスを

ポケットにしまった





『ぁ、すんません(笑)大丈夫です』



「それでは入居審査の
申込みにつきましては~…」





不動産屋の話をききながら

さりげに首を掻いた瞬間…





ジャラ・・・






『・・・』




〃・・・ん?〃









首に違和感を覚える・・・と言うのか


俺にとっての〃いつも通り〃…


首に違和感がないことが


この状況には違和感だ







『・・・』





ジャラ・・・






俺は襟元に手を入れて

いつもの位置に

いつものソレがあることを確かめる






『・・・』




いつも通りに…胸元についてる

俺の指輪・・・





『・・・』





ジャリ・・・





俺はポケットに・・・手を入れた
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