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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第30章 翼を・・・ひろげて
ジャラ・・・


ジャリ・・・




胸元とポケット

その両方から金属音がするのは…何故だ?






俺はポケットに入れたネックレスを

取り出した





良く似ている・・・だけど


別のものだ





俺のじゃ・・・ない







俺のネックレスは

いつも通りに俺の胸元にある







『あの・・・これ』






「はい?どうしました??」







不動産屋にそれを返そうとした手が

何故か次第に騒がしく高鳴る

心臓の音に反して

ピタリと止まってしまう







『・・・』






目の錯覚…ではなかった






拾ったネックレス…その指輪は


俺のものより・・・遥かに小さい








「お客様のじゃないですか?

付けてらしたのとよく似ていたもので

あ、もしやソレが?

忘れ物ですかねぇ???」






『・・・』






「物が何かは…まだ連絡がないので
僕も探しようがないと思いましてね

まぁ落とし物はまれにあるんですが
~…良かった良かった

トラブルになると大変なんですよぉ
いや~良かった

あ、では…すみませんお客様
そちら、僕の方でお預かりを~…」










『あの・・・内覧した人って』









『はい…???』







『どんな方ですか?』








『は……??あ・・・いえ

僕は担当しなかったので・・・~…ええと』








『名前とか・・・わかりませんか?』
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