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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第8章 ゆるされぬ想い・・・
俺・・・結婚願望とか、あんまない
って思ってた…とも思うけど

避けてたのかもしんないんだよな。


家庭とか持って
あのクズ親父みたいになったら・・・って

俺も同じになるんじゃねぇか、ってさ。




思いがけぬことで
そんな事を自覚する。




『俺…母親も誰も
守ってやれなかった自分が
ずっと悔しかったんだ。

そんな思いをしたのに
自分がもし、同じことをしたら
って…

俺…人として絶対にオワルって…』






『それも・・・きっとちがう。

ゆぅちゃんは、お母さんを…
家族を必死に守ってた。

お母さんが、ゆぅちゃんや妹さんを
守ってくれたのと同じように

なんら変わりはないと思う』




『マリ・・・ア』




『お母さんは…ゆぅちゃんに
今も昔も感謝してると思う。

だからきっと、いつもゆぅちゃんに
ありがとう…って

えらかったね…って
褒めてくれたんだよ。


〃ユウトがいたから頑張れたよ〃

〃ユウトがいたから乗り越えられたよ〃

〃そばにいてくれてありがとう〃

って、お母さんは…』





マリアの目から
涙が溢れだした。





『…っ…だから

ゆぅちゃんが…そんな風に思ってたら
お母さんは悲しむと思う…!

自分を責めてしまうと思う。
ゆぅちゃんの心に、大きな傷を
負わせてしまった…って

自分が
ゆぅちゃんを守れなかったんだ
…って』




『マリア・・・』




『だから・・・二度と

そんなことを・・・

言うなぁ・・・っ』





そう言ってマリアは
ソファに膝立ちして

俺の頭を抱えて
抱きしめてくれたんだ・・・




流れ落ちる寸前の

俺の涙を隠すように・・・。
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