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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第8章 ゆるされぬ想い・・・
俺はマリアから少しはなれて
様子を見守った

・・・くれぐれも

音を立てないように。




ヤベェ・・・くしゃみとか出たら
どうしよ。



ノイズが多いのか
マリアは結局テレビも消して
音を消してしまってた。



・・・静まった部屋には
マリアの声と

電話のムコウの声が

会話がおのずと聞こえてきた。





〃昨日は悪かった・・・〃


『ううん・・・私も悪いから』





なるほど・・・

翌日には平謝りってやつね。



だけど・・・




〃お前が××だから…◯△~~〃






・・・謝ってんのか?
言い訳してんのか

どっちだよコイツ。

なんか俺・・・
ムカムカしてくるんすケド
ダンナサンよぉ?・・・



そして・・・






〃今どこにいる?〃


〃すぐに帰って来い〃






ま…そう来るよな。






『…今日は、少しの間は・・・帰らない』



〃まりあ…!俺が悪かったから〃




『少しだけ・・・休ませてほしいの』





〃まりあ…もうしないから〃







"もうしないから"…

マリアは何度
そう言われたんだろうな…


そして・・・
何度…裏切られたんだろうな…。






〃もうしない。二度としないから〃

『・・・』



〃どこにいるんだ?迎えに行くから〃

〃誰かといるのか?!〃

〃迷惑になるだろ?帰って来い!〃




『・・・友達のとこ。
アナタの知らない子。
私も数年ぶりに会ったの
学生の時の子だから

旦那さんが出張中だから
いいよって言ってくれた。

うん…。うん。

アナタと面識ない子だし…
何も話してない
病院も行ってないから。大丈夫。』



〃まりあ…もうしないから〃



『そう…思うなら

それが…本当なら
少し私に、時間をください

お互い少しはなれて
頭を冷やして・・・』



マリアは

わりと堂々と話していた。

まぁ電話なら…何か言っても
即座に手がとんでくる
なんてことはないからか・・・



堂々と…と言うか

流暢に〃ウソ〃をついていた。


感情を持たないような…

死んだような目をして。
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